2017年10月ブログ
2017年
10月
31日
火
過度の紫外線対策のリスク
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。意外な骨粗しょう症のリスクとしてあげられるのは、過度の紫外線対策です。最近はメラノーマ(悪性黒色腫)などの皮膚ガンをはじめ、シミ・シワなどを防ぐため、紫外線を可能な限り避けようとする人が急増しています。日向を避けるのはもちろん、UVカットクリームを顔にしっかり塗ったうえで、冬でも日傘をさしたり、つばひろの帽子をかぶったりするなど、過剰なまでに紫外線対策をしている人が目立ちます。しかし、徹底的に紫外線を避けることは、骨量を減少させ、骨粗しょう症予備群の道へと突き進むことになります。というのも、体内のビタミンDの80%は紫外線によって皮膚で生成されるので、カルシウムの小腸などからの吸収や骨への沈着が妨げられてしまうからです。食事からとるビタミンDより、紫外線によるビタミンDの方がはるかに多く、適度に紫外線を浴びることは、骨の健康に欠かせないのです。日本はオーストラリアやニュージーランドなどと比べると、日光浴でメラノーマなどを発病させるリスクは100分の1くらいしかありません。過剰なUV対策は必要ないと言えるでしょう。
2017年
10月
30日
月
足の付け根の骨の骨折
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。手首の骨や足の付け根の骨、肩のすぐ下の骨は、いずれも骨折すると激痛に襲われるので、気がつかないなどということはありません。ですが、骨折したままの状態では動かせないため、治療をして治るまで不自由な生活を強いられることになります。なかでも、大ごとになりやすいのが、足の付け根(大腿骨近位部)の骨の骨折です。骨折をした直後は、身体をまったく動かせないので、病院へ入院する必要があります。治療には手術とリハビリが不可欠で、退院するまで早くても1ヶ月程度、遅ければ2ヶ月以上を要することになります。それだけではありません。入院後に、せん妄や肺炎、床ずれ、認知症などを起こしたり、満足に身体を動かせないことから筋肉が瘦せ衰え、関節の動きも悪くなってしまう人が少なくありません。実際、ベッドに寝たままの状態が続くと、筋肉は1週間で10~15%もやせ細ります。骨折の手術は成功したものの、寝たきりで動けなくなることによる筋力低下などから「起き上がれない」「歩けない」という人も出てきます。また、手術とリハビリを受けて退院をし、無事に自宅に戻れたとしても、骨折する前と同じレベルまで日常生活動作が回復する人ばかりではありません。回復する人はたったの20%です。1人で歩けなくなる人が60%、1年以内に死亡する人が20%もいます。骨折前の歩行能力の高い人ほど回復しやすく、骨折前の歩行能力の低い人ほど回復しにくい傾向にあり、退院後は3人に1人が日常生活に支障をきたします。
2017年
10月
29日
日
椎体圧迫骨折
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。骨粗しょう症による四大骨折のなかでも、手足の骨折は痛みをともないますが、とくに本人が気づきにくいのは背骨の骨折です。背骨のことを医学的には脊椎と呼びます。脊椎は、椎骨という小さな骨が積み重なってつくられています。その椎骨の要である丸い部分を「椎体」といいます。その椎体の内部が骨粗しょう症でスカスカになると、ちょっとした衝撃が加わっただけでも、グシャッと潰れてしまいます。「椎体圧迫骨折」といって、円筒形の椎体が上から押し潰されて変形する骨折です。よくあるのは、自分の身体の重みに次第に耐えられなくなって、ジワジワと潰れることです。椎骨は小さいうえ、骨が潰れる進行がゆっくりなので、ほとんど痛みを感じません。骨折をしたときに気づくのは3人に1人で、「いつ骨折したのかわからない」という人が3分の2を占めます。椎体圧迫骨折に気づかなかったり、気づいても「年をとったので仕方がない」などとあきらめて放置していると、さらに続けて2ヵ所目、3ヵ所目とドミノのように骨折を起こすことになってしまいます。椎骨は小さな骨が連結しているため、1ヵ所骨折をすると、2ヵ所目を骨折する確率は2~3倍に高まります。2ヵ所目を骨折すれば、3ヵ所目を骨折する確率は、7~10倍に達します。こうした椎体の連続骨折を断つには、骨粗しょう症の治療が不可欠です。しかも、椎体圧迫骨折を起こすと、5年後の生存率は約60%にとどまります。つまり、約40%の人が5年以内に亡くなってしまうのです。これは、大腸ガンや乳ガンの5年生存率より劣っています。閉経後の女性にとって、骨粗しょう症は、大腸ガンや乳ガンよりも死を招く危険な病気といえるのです。
2017年
10月
28日
土
骨粗しょう症が原因の骨折の特徴
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。骨粗しょう症が厄介なのは、症状らしい症状がほとんどないことです。発症直後はもちろん、かなり進行しても大半のケースで症状が見られません。痛みなどの症状に見舞われるのは、たいてい骨粗しょう症が進行して骨折をしたときです。それまで自覚症状がないため、「骨が折れてはじめて気づいた」という人が多いのです。それどころか、「痛みなどなかった」「骨折したこと自体に気づかなかった」というケースも3分の2は見られます。実は、骨粗しょう症から起こる骨折にはいくつか特徴があります。それを知っておくことで、少しでも早く発症に気づくことができます。骨粗しょう症は、全身の骨をスカスカにする病気ですが、とくに折れやすい部位が4か所あります。
①手首の骨(橈骨遠位端)
②背中や腰の背骨(脊椎椎体)
③足の付け根の骨(大腿骨近位部)
④上腕の付け根の骨(上腕骨近位部)
骨折というと、多くの人は、手足のような長い骨の真ん中あたりがポキンと折れることをイメージすると思います。骨粗しょう症による骨折は、これとは全く異なります。骨粗しょう症によって脆くなった骨は、わずかな力が加わっただけでもグシャッと潰れてしまう「脆弱性骨折」を起こすのが特徴です。先に述べた4つの部位は、ちょっとしたことで外力のかかりやすいところです。たとえば、うっかり転びそうになって、手をついたり、つまずいたり、体をひねったりということは誰にでもあると思います。健康な骨なら、このぐらいではびくともしません。ところが、骨粗しょう症になると、その程度のことでも、すぐに折れてしまいます。まして、しりもちをついたり重いものを持ち上げようとしたりして、思わぬ大きな力がかかると、重篤な骨折につながることもよくあります。そうして、ひとたび骨折をすると、いずれの部位であっても、たちまち生活の質が低下してしまいます。しかも、骨粗しょう症では、骨が再び治るのに長い時間がかかります。その間に、足腰の筋力が弱って、寝たきりになってしまうこともあります。すると、気持ちや活力もどんどん衰えてしまいます。骨粗しょう症による骨折は、身体機能だけでなく、心の健康を奪うことにもなるのです。
2017年
10月
27日
金
年齢による骨量
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。骨量はそもそもどのぐらいあるものなのでしょうか。生まれたばかりの赤ちゃんのときはわずか数10gですが、1歳から4歳までに身体の成長とともに骨量は増加していきます。女子は12歳前後で初潮を迎え、卵巣からの女性ホルモンの分泌が高まります。その2年位前から女性ホルモンの急増により10歳から16歳で、急激に骨量を増やしていきます。そして、男女とも18~20歳の頃に骨量はピークに達します。ここで一生のうちで最も多い最大骨量を獲得します。最大骨量の獲得後は、40代前半くらいまで骨量の高いまま推移していきます。ところが、男女を問わず45歳前後を境に、骨量の推移は大きく変化しはじめます。加齢によって新陳代謝が低下するため、それまでの高い骨量を維持できなくなってしまうのです。とりわけ女性の場合は、急激な変化に見舞われます。50歳前後になって閉経を迎えることで、「骨の守護神」である女性ホルモンの分泌量が一気に減少し、それと同時に骨量も急速に減りはじめるからです。とくに閉経後2年間の骨量減少はすさまじく、この間に骨量は2.7%と最も減少します。そして、閉経後10年間で骨量は15~20%も減少してしまいます。こうした女性の急速な骨量減少は、閉経後16年ほど続きます。そのため60代の女性の多くが、若い頃の80%前後まで骨量を減らしてしまい、「骨粗しょう症予備群」と告げられることになります。その後は、骨量の減少は緩やかなカーブを描くようになりますが、加齢とともに骨量が減り続けることに変わりはありません。60代後半から70代になると、骨量が若い頃の70%を切る女性も珍しくありません。そのため、この年代の女性に「骨粗しょう症に」と診断される方が多いのです。一方、男性の場合も、女性と同じように、45歳前後を境に骨量は少しずつ減りはじめますが、閉経による骨量減少がないため、緩やかな減少傾向が続きます。65歳ぐらいになると男性も少しずつ骨粗しょう症のリスクが高まり、やがて80歳を迎える頃になると、男性の骨量も若い頃の70%前後にまで低下し、骨粗しょう症と診断されるケースが増えてきます。
2017年
10月
26日
木
カルシウム不足の影響
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。カルシウム不足も、破骨細胞を暴走させるきっかけになります。食事から摂るカルシウムの量が不足して血液中のカルシウムの濃度が低下すると、破骨細胞の働きが一気に高まります。成人の場合、身体の中に700~1000gのカルシウムが存在しています。そのうちの99%は骨に貯えられ、丈夫な骨をつくったり維持したりしています。残りのわずか1%、7~10gのカルシウムは血液や筋肉、神経などの体液や細胞に存在していて、筋肉の収縮や神経伝達などさまざまな生体機能に重要な役割を果たしています。ですから、カルシウムの運搬ルートである血液中のカルシウム濃度は、常に一定に保たれるように管理されています。もし、体液中のカルシウムがほんの少し低下すると、心筋などの筋肉の収縮や神経伝達がスムーズにいかなくなったり、ホルモンや消化酵素の分泌などが乱れたりします。場合によっては、動悸や頭痛、しびれなどから命にかかわるような状態になりかねません。そのため、私たちの身体には、血液中のカルシウム濃度がわずかでも低下したら、すみやかにカルシウムを補給するため、骨からカルシウムを削り出して、血液中に放出するシステムが備わっています。つまり、骨は「カルシウムの貯蔵庫」であり、カルシウムが不足すると、破骨細胞がフル稼働して骨吸収を一気に進めるのです。
2017年
10月
24日
火
無理なダイエットは破骨細胞を暴走させる
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。破骨細胞が暴走するきっかけの一つとなるのは、女性ホルモンの減少です。実は、女性ホルモンのは「骨の守り神」「骨の守護神」ともいえる存在です。女性ホルモンは、破骨細胞の首根っこをおさえてその働きを抑制し、骨芽細胞の働きを助太刀します。また、破骨細胞の数そのものを減らし、その一方で、骨形成を進める骨芽細胞の数を増やします。このように、女性ホルモンには、二つのルートから骨形成を促して、骨を強くする作用があります。したがって、たとえば無理なダイエットによって生理不順や無月経になったり、更年期になって閉経するなどして、女性ホルモンの分泌が不足したり欠乏したりして「骨の守護神」に立ち去られてしまうと、もはや破骨細胞をおしとどめられる者いなくなってしまいます。破骨細胞はたちまち元気を取り戻して暴れ出し、フルに活動しはじめます。その結果、アッという間に骨吸収が高まり、骨を溶かしてスカスカな状態へと変質させていくのです。ちなみに、「男性は女性よりもともと女性ホルモンの量が少ないのに、どうして骨粗しょう症になりにくいの?」という疑問を持つ方もいると思います。実は、60代後半の男女の女性ホルモン値を比較すると、男性の方が2倍以上も女性ホルモンが多いのです。つまり、60代以降の男性は、女性以上に女性ホルモンがあるため、骨密度が減りにくく、骨粗しょう症になりにくいのです。
2017年
10月
23日
月
「骨粗しょう症」とは
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。破骨細胞が古い骨を溶かして壊していく骨吸収と、骨芽細胞が新しい骨をつくる骨形成のバランスの均衡が崩れることがあります。一つは、破骨細胞の働きに歯止めが利かなくなり、骨吸収の速度が一方的に高まって、骨形成を置き去りにしてしまう場合です。骨代謝回転も後押しされて高代謝回転となり、勢いづいた破骨細胞は骨をどんどん溶かし、質を低下させていきます。もう一つは、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成と、どちらの速度も低下してしまう場合です。骨代謝回転の速度も徐々に低下して低代謝回転となります。すると、骨吸収に骨形成がジワジワと引き離され、骨は徐々に溶かされ変質していきます。もともと骨形成は骨吸収の何倍もの時間がかかるため、骨代謝回転の速度が低下すると、骨形成は骨吸収に追いつけなくなります。そのまま骨吸収に引き離され続けると、骨から溶かし出されるカルシウムが次第に増加し、骨を変質させていきます。いずれにしても、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収の勢いが高まると骨の主成分のカルシウムは溶け出し、血液中に吸収されていきます。骨を壊す一方となってカルシウムが溶け出したまま、補充もされずに放っておかれると、骨は大変なことになります。まさに骨組みだけで隙間だらけのスカスカな状態になってしまいます。その結果、骨量が激減して骨の強度は低下し、折れやすくなります。これが「骨粗しょう症」です。
2017年
10月
22日
日
若い女性や中高年男性の骨も危ない
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。骨粗しょう症というと、「高齢の女性がなる病気でしょう」と考える人も多いようですが、大きな誤りです。40代、50代で発症する人もいますし、男性もなります。実は、骨は母親のお腹にいる胎児の時に形成されることから、骨粗しょう症は成長してから発症する胎児疾患であると考えられています。また、骨の健康には、小さい頃からの生活環境が大きく影響します。つまり、骨粗しょう症は「生活習慣病」でもあるのです。実際、近年、30代、40代のまだ若い女性に、無理なダイエットなどによって必要なエネルギーや栄養素が不足し、女性ホルモンの分泌も低下して、骨代謝が乱れ、骨粗しょう症まではいかないものの、その一歩手前の骨量減少のレベルと判定され、「骨粗しょう症予備群」と告げられる人が急増しています。骨粗しょう症予備群の女性は、30代で3.2%、40代で10.5%にのぼるそうです。つまり、40代では、10人に1人が骨粗しょう症予備群であり、遠からず骨粗しょう症を発症する可能性の高い危険な状態にあるのです。一方、男性も女性に比べると少ないものの、高齢になると老年性の骨粗しょう症になります。また、最近、中高年の男性を中心に、糖尿病などの生活習慣病から骨質を劣化させ、骨量は低下していないのに骨が弱くなる「新型骨粗しょう症」を発症する人が増えています。このように、骨粗しょう症は、老若男女問わず、誰にでも関わりのある病気です。今はまだ若いから「お年寄りの病気だから関係ない」などということは決してありません。今、どのような生活を送っているかが、将来のその人の骨の健康を左右します。つまり、将来の自分が実年齢より若々しくいられるか、それとも老けているかは、今このときの自分次第なのです。これまで、健康や美容を考えるときに「骨」を意識することはなかったかもしれませんが、丈夫な骨をつくることは、いつまでも元気で、若々しく、美しい身体でいるために、何よりも大事なのです。
2017年
10月
21日
土
全身の臓器を操る黒幕「骨細胞」
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。骨が健康で若いと、見た目も若い。その理由も特にここ数年で明らかになってきました。動物実験などによって、骨が全身の臓器をコントロールし、私たちの健康に大きな影響を与えていることがわかってきたのです。若返りのカギとなっているのは、骨を構成している「骨細胞」です。骨には、骨を溶かして壊す「破骨細胞」と、骨をつくる「骨芽細胞」、この2つをコントロールする司令塔の「骨細胞」の3種類の細胞がいて、連携プレーによって新陳代謝を繰り返しています。北海道大学大学院歯学部研究科と神戸大学医学部の合同研究グループによると、若いマウスに3つの細胞のうち骨細胞だけの働きを止める注射をしたところ、みるみる元気がなくなり、筋肉も衰え、3週間後には歩くのもおぼつかない状態になりました。また、エサは食べているのに、次第に栄養不足の状態に陥り、全身の脂肪バランスが崩れて、肝臓に脂肪が集中して脂肪肝になりました。さらに、免疫にかかわるリンパ節が萎縮しはじめ、免疫システムの要を担う白血球の数も4分の1にまで激減しました。骨細胞の働かなくなった若いマウスは、突然、老化現象に襲われ、急速に衰弱したのです。この研究結果から、骨細胞は、免疫システムや脂肪の代謝に大きくかかわっていることがわかったのです。ここまで極端でなくても、もしも若い人の骨細胞の働きが衰えたとしたら、脂肪のバランスが崩れてスタイルが悪くなったり、免疫力が弱って肌荒れやシミ・ソバカスができやすく、老け顔になったりするなど、見た目に大きな影響を及ぼすことは容易に想像できます。こうしたことから、骨細胞は、若々しい顔や身体を維持するための黒幕的存在であると考えられるのです。
2017年
10月
20日
金
骨密度が高い人ほど見た目も若い
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。見た目年齢を左右する要素には、肌や髪の状態などもありますが、遠くからでも強く年齢を印象づけるのは「姿勢」です。たとえば、実年齢は同じでも、背筋がスッと伸びている人と、背中の丸い猫背の人とでは、見た目年齢は大きく異なります。「年をとれば誰だって多少は背中が丸くなるのだから、高齢になれば大差はなくなるはず」というのは大きな勘違いです。80代になっても背筋をまっすぐ伸ばし颯爽と歩いている人はいます。こうした姿勢の良し悪しの決め手になるのは、身体の土台である骨格です。つまり、骨の状態が、その人の見た目に大きくモノをいうのです。実は、骨が見た目に果たす役割は、姿勢の問題だけではありません。近年の研究によって、骨が健康で若い人ほど、肌ツヤがよく、見た目の若いことが次々と判明しています。たとえば、2011年、米国エール大学の研究チームによって、閉経後3年以内の50歳前後の女性114人を対象に、骨密度と顔や首筋など11ヶ所の肌の状態との関係を調べた研究レポートが発表されました。結果は、骨密度の高い人ほど肌のハリがあり、逆に、骨密度の低い人ほど肌のハリが失われシワが多いというのもでした。また、同じ年に、骨粗しょう症と肌のたるみや顔のシワ、ほうれい線など顔の容貌の劣化との関係を論じた研究レポートが、米国の医学専門誌「形成外科ジャーナル」に掲載されました。若者から高齢者まで、それぞれの年代ごとに頭蓋骨をMRIで撮影し、骨の状態などを比較しながら詳しく調べたところ、高齢の人ほど頭蓋骨が下方に向けて崩れていて、眼窩が拡大し、顎の骨もやせていることがわかりました。骨粗しょう症によって頭蓋骨の骨量が減り、顔の骨が脆くなって少しずつやせてきたことが原因です。その結果、頭蓋骨を覆う頭皮がたるんで肌のハリが失われ、シワが増え、フェイスラインがぼやけてしまったのです。同レポートでは、骨粗しょう症によって、眼のくぼみやほうれい線などのシワが際立ち、容貌の劣化がもたらされ、老化をきたすと指摘しています。
2017年
10月
17日
火
口の中をのぞく習慣
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。自分の口の中をのぞくことを習慣づけておくと、口の中の異変をいち早く察知できる、というメリットがあります。自分でのぞいても、歯周病の兆候などをある程度はつかむことができます。口の中の状態に関心をもち、そういう目で見ていると、見逃していたものに気づくこともあります。たとえば、比較的わかりやすい兆候としては、歯磨きによる出血があります。歯肉に炎症があるために出血しますから、歯周病の可能性大といえます。ただし、単にブラシでのこすり過ぎによる出血の場合もあれば、逆に歯周病が始まっているにもかかわらず、歯ブラシがしっかりと当たっていないために出血がない、という場合もよくあります。歯周病の他の兆候としては、歯肉の腫れがあります。腫れが前歯であれば、自分で見てもある程度はわかります。歯と歯の間の「歯間乳頭」という部分が膨れていたり、鈍角になっていたりしたらそれは歯周病の疑いがあります。また、鏡をのぞいて「歯がちょっと長くなった気がする」というときも要注意です。これは、歯を支えている歯周組織が溶けてしまって歯肉が下がり「歯根」が見えた場合に、このように「長くなった気がする」ものなのです。さらには、歯の根元を爪でこそげて白いものが取れてきたら、それが歯垢、歯周病菌の塊です。このような場合はブラッシングに問題があります。もう一度、正しいブラッシングの方法を確認しておきましょう。
2017年
10月
16日
月
健康長寿は歯の病気の予防から
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。歯や口の中を良好に保つことは、生活習慣病や認知症を防ぎ、介護に依存しない幸せなシルバーライフを迎えるための大きなポイントとなります。虫歯や歯周病などの疾患は、早期発見、早期治療が大切と思っている人も多いようですが、それがベストではありません。もっと大事なのは、そうした症状を起こさないようにすることです。つまり、予防こそ歯の健康を守る最高の対策なのです。そのためには、毎日のケアが何よりも重要になってきます。歯磨きは、歯垢を残さないように丁寧にブラッシングしましょう。特に、寝る前の歯のケアは欠かさないようにしましょう。口の中の細菌は、唾液の分泌が減る就寝中に盛んに活動します。菌のエサになる食べカスや菌の棲家である歯垢は、就寝前にしっかり除いておきましょう。また、デンタルフロスを使うこともおススメです。あまり使ったことがない人もいると思いますが、歯ブラシだけでは落としにくい歯間の汚れを落とすことができ、歯垢の蓄積を防ぐのにとても有効です。この就寝前のブラッシング、毎日のデンタルフロスを使ったケアと死亡率との関係を調べた興味深いデータがあります。5611人の高齢者を平均9年間にわたって調査した結果ですが、これによれば、就寝前に歯磨きをする人に比べ、全くしない人は20~35%も死亡リスクが上昇したといいます。また、デンタルフロスを毎日使う人と比べて、全く使わない人は30%も死亡率が高くなったそうです。さらに、2~3ヶ月に一度歯科を受診する人と比較して、全く受診しない人は30~50%も死亡リスクが高くなったということです。なお、喪失した歯の数が多くなるほど死亡率は高く、全く歯のない人は、義歯を装着していても、20本以上自分の歯を持つ人よりも30%死亡率が高いという数字が報告されています。
2017年
10月
15日
日
胃液で死なない驚異の悪玉・ピロリ菌
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。胃に住みつく細菌としてよく知られているのが、ピロリ菌です。名前は可愛いのに、強い毒素で胃壁を傷つける悪玉で、日本人の50%以上が感染しているといわれています。悪性腫瘍の原因であることがわかっている唯一の細菌で、放っておくと萎縮性胃炎から、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃ガンを発症するリスクが高まるだけでなく、自己免疫疾患である特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの全身的な病気との関係も深いことがわかっています。胃の中では、pH1~2の強酸性の胃液が毎日2.5ℓも分泌されるため、通常、細菌は生息できません。でもピロリ菌は、自らアルカリ性のアンモニアを産生し、酸を中和して住んでいるのです。そのため、ピロリ菌がいる人の胃液は薄まり、消化・吸収の力が低下してしまいます。タンパク質やビタミン、ミネラル不足で消化管が弱っているところに、骨の喪失に伴うカルシウム不足が加わって、ますます胃液の分泌は低下します。無理して食べていると、胃もたれやお腹の張り、ガスがたまる原因になります。さらには、胃液中のビタミンC濃度も低下し、発ガン性物資の生成抑制も進まず、胃ガン、大腸ガンなど消化器ガン発生の危険が高まるのです。ピロリ菌の感染による萎縮性胃炎では、口から入った細菌が十分に殺菌されなくなり、腸内細菌のバランスが悪化して、さまざまな全身の病気の引き金にもなります。ピロリ菌の検査は血液検査による抗体価検査や、便による抗原検査などが選択できます。手軽に確実な検査が受けられますから、一度、このような検査を受けてみてはいかがでしょうか。
2017年
10月
14日
土
古くて新しい抗菌剤オリーブ葉
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。オリーブはモクセイ科の常緑高木で、地中海沿岸諸国では古くから食用・薬用に用いられてきました。このオリーブの葉から抽出したエキスは抗炎症剤として知られ、ドイツでは現在でも高血圧や利尿目的の医薬品として使われています。オリーブ葉エキスに含まれるオーレユーロベンは、白血球の一種のマクロファージや好中球の働きを活性化させ免疫力をアップさせるのに加え、細菌やウイルスを直接攻撃する働きもあります。一般の抗菌剤では病原菌を退治すると同時に、善玉菌なども攻撃して腸内細菌のバランスを乱すリスクがあります。その点、オリーブ葉は人間の細胞や腸内バランスにダメージを与えないことから、妊婦や高齢者などでも安心して使うことができます。抗菌剤の服用を避けたいと思う方には、ぜひ考えて頂きたい選択肢です。
2017年
10月
13日
金
唾液の質を上げる
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。唾液がしっかり分泌されるようにすることは大切ですが、できれば「質のよい唾液」を出せればいうことはありません。「唾液にもよい悪いがあるの?」と思う人もいるでしょうが、いろいろな機能をもつ唾液ですから、ちゃんと機能をこなす働き者に越したことはありません。それが、全身の健康につながります。唾液の成分のうち99.5%は水分で、残りの0.5%のうちの2/3がミネラルなどの無機質で、1/3がタンパク質でできています。唾液の質を上げるためには、0.5%の部分のタンパク質、ミネラルをたっぷり摂ることです。たかが0.5%ですが、これらが不足すると、抗菌や免疫をはじめ唾液の機能が悪化してしまうことになります。では、唾液の質が上がって、きちんと機能するようになると、どんなふうに働いてくれるのでしょうか。たとえば、唾液の粘液成分のムチン。このネバネバしたタンパク質が、粘膜を守る物理的バリアの役割を果たすとともに、嚥下をしやすくしています。また、細菌を取り除く作用を持つ抗菌物資も、すべてタンパク質でできています。その原料である血液中のタンパク質(主にアルブミン)が減少すると、唾液の量が減る恐れがあるのはもちろん、唾液の抗菌力が低下する恐れもあります。代表的な抗菌物質は次のようなものです。
●リゾチーム…細菌をの細胞壁を加水分解して、細菌を除去
●ラクトフェリン…鉄結合性の糖タンパク質で、細菌をの生育に必要な鉄を奪うことで、増殖を抑制
●ペルオキシダーゼ…鉄を含むヘム酵素で、チオシアン酸イオンという抗菌成分の生成を促進。この酵素が、ニトロソアミンなどの発ガン性を弱めることも明らかになっています。また、有害な活性酸素を除去する抗酸化作用、つまりアンチエイジング効果も期待できます。
●IgA…消化器官の初期免疫を担う免疫グロブリン中で最多の抗体。病原菌などの侵入を真っ先に防止。生成にはグルタミンとビタミンAが必要。
●シスタチン…細菌のプロテアーゼの活性を阻害。プロテアーゼは、タンパク質分解酵素で、歯周病の進行に関与しています。アミノ酸の一種、システインを多く含みます。
●ヒスタチン…カンジタ菌に対する殺菌・成長抑制の働き。ヒスチジンというアミノ酸が豊富です。
ほかに、唾液の大事な働きの1つに、口内の酸性度(㏗)を一定に保つ緩衝作用があります。これは、虫歯の進行を抑制するのに不可欠の機能で、重炭酸塩が重要な役割を果たしています。生成には炭酸脱水酵素が必要ですが、この機能がうまく働くためには、必須ミネラルの亜鉛が欠かせません。タンパク質とともに、きちんと摂りたい栄養素です。
2017年
10月
10日
火
増加している「ドライマウス」
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。緊張したときなど、よく口の中がカラカラに乾いたりすることがあります。こんなときは、水でも飲んで、口やのどを潤せば治まることがほとんどです。でも、水を飲んでも治まらず、ずっと口の中が乾燥した状態が続くのが「ドライマウス」です。乾燥が進むと、ものが食べにくくなったり、話しにくくなったり、口の中がネバネバしたりすることもあります。ドライマウスは、抗ヒスタミン剤や鎮痛剤、抗うつ剤をはじめ、いろいろな薬の副作用やストレスによって唾液の分泌が抑制されて起こることが最も多いようです。唾液の量が減るということは、口腔の自浄作用が低下し歯垢がたまりやすくなって、虫歯が増えたり、歯周病が悪化したりしやすくなります。と同時に、咀嚼障害や嚥下障害を助長することになります。つまり、食べ物からの栄養素の摂取は、消化器官のスタート地点で大きくつまづくことになります。十分な栄養が摂れず、全身の健康維持に危険サインが点滅します。もちろん、唾液による免疫機能という点でも、その働きの低下は、腸の免疫力にも影響してきます。また、舌表面の付着物で口臭のモトになる舌苔が唾液で流されにくくなって口臭が強くなったり、義歯の維持力が低下したりすることも少なくありません。口の中が乾燥するとカビの一種のカンジダ菌が増加しやすく、口腔カンジダ症を起こすことが多くありますが、それは味覚障害や粘膜炎を引き起こす原因にもなります。これらの事態に陥らないようにするためにも、ふだんから唾液をしっかり分泌させることが大切です。こまめな水分補給は大切で、特にタンパク質の摂取が不足している場合は気付かないうちに脱水状態になっていることも珍しくありません。タンパク質は体内に水をたくわえる「保水力」も持っているのです。そして食べ物をよく噛む習慣をつけたりすることはもちろん、できるだけストレスをためないようにすることです。ストレス状態が続くと、口の中は渇きやすくなります。
2017年
10月
09日
月
認知症と口腔環境
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。認知症の原因が口にある…などと言われても、「そんな話聞いたことないし、ちょっと信じられない…」そう思う人もいると思います。口の中の健康と認知症との関係について、それを裏付けるような事実が、最近次々と解明されてきているのです。その重要なキーワードのひとつが「炎症」です。炎症は、簡単にいうと、体の外から入ってきたり、体内で生まれたりした害のあるものへの防御反応です。体は自分自身、つまり自分の細胞を破壊してでも悪いものを取り除こうとします。そうして、生命の危機から逃れようとするのです。いわば「肉を切らせて骨を断つ」という戦術、これが炎症というわけです。ただ、そのプロセスで、さまざまな作用をする「生理活性物質」というものが生まれます。それは、タンパク質の一種であったり、活性酸素であったりしますが、これらが炎症を起こしている場所だけでなく、全身的に病的な老化や認知症を招く原因になることがわかってきました。老化ひとつの症状としての認知症も、実は「脳の炎症」だといわれています。認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症はアミロイドβという特殊なタンパク質が脳内に増えることが原因ですが、脳に炎症があるとこのアミロイドβが増えやすく、またアミロイドβの増加がさらに炎症を引き起こすことが実証されています。そして、老化や認知症と関係が深い炎症は、激しい急性の炎症ではなく、むしろ「長く続く慢性の小さな炎症」だということも明らかになってきているのです。そんな小さな炎症のひとつ、口の中ので起きる炎症の代表的なものが「歯周病」です。最近では、この歯周病が、アルツハイマー型認知症に影響を及ぼしているということが知られてきました。というのも、アルツハイマー型認知症で亡くなった人の脳を調べたところ、歯周病原因菌のリーダー格であるPg菌が発する毒素LPSが高頻度で検出されているのです。これに対し、アルツハイマー型認知症を発症していない人の脳からは、この毒素は検出されていないのです。
2017年
10月
07日
土
連動する口腔環境と腸内環境
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。食べ物が口へ入ってから、その後どんなルートをたどって体の栄養になっていくのか、みなさん何となくおわかりだと思います。口腔内へ入ると、食べ物はまず咀嚼によって細かく砕かれ、唾液と混ぜ合わされて消化が始まります。飲み込んだ食べ物は食道を経て、胃へ。ここで、さらに消化が進み、小腸、大腸へと進んで、消化・吸収されていきます。まさに、口は消化器官のスタート地点であり、腸までずっとつながっています。ただ、口腔と腸は物理的にはつながってはいても、これまでは、機能的なつながりはうすく直接影響を及ぼしあうことはないと考えられていました。ところが、最近の実験によれば、歯周病菌をマウスに飲ませると、腸内細菌バランスが乱れるということが明らかになり、機能の面でも、口腔と腸は関係し合っているということがわかってきたのです。この関係は、新潟大学の研究結果で証明されました。歯周病の代表的な病原菌であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌をマウスの口腔から投与するというもので、その結果、マウスの腸内細菌のバランスが大きく変化し、全身的な炎症を引き起こしたそうです。つまり、口腔の環境が悪化すると、腸内細菌のバランスが乱れ、腸内環境も悪くなるということになります。この腸内細菌は、ある種類のリンパ球の発達にかかわっているため、腸内環境が悪化すると、免疫機能の調節が難しくなります。一方、口腔内にある免疫細胞は、腸管で成熟したものがリンパ管を経由して、口腔に到達したものです。そのため、腸内環境が悪くなると、口腔内の免疫力もダウンしてしまいます。口腔と腸はただつながっているというだけでなく、どとらかの状態が悪くなると、もう一方の働きも悪くなってしまう深い関係にあるのです。ちょっと不思議に聞こえるかもしれませんが、お腹の元気をキープするためにも、正しい歯磨きは大切なのです。
2017年
10月
06日
金
糖尿病と歯周病の関係
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。わが国の糖尿病患者数は、予備軍も含めて約2000万人にも上るといわれています。最近では、糖尿病と歯周病の密接な関係が、一般的にもよく知られるようになってきました。ですから、歯周病のデータを見れば、かなり高い確率で糖尿病を診断することが可能になっています。アメリカ・コロンビア大学の研究では、4本以上歯を失くしていて、歯周ポケットの26%以上が中程度の5ミリ以上ある人のうち、73%が糖尿病にかかっていたというデータがあります。さらに血糖値を知るための目安として1番普及している検査項目である血中のHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値を測定して5.7%以上あれば、確率は92%まで上昇するそうです。糖尿病患者は、メタボリックシンドロームを発症しているケースが多くあります。内臓脂肪型肥満の割合が高いのはもちろん、血糖値が常に高いため血管の内面にはいつも炎症が存在し、体をサビさせる活性酸素が発生しています。その結果、血液中のコレステロールの酸化が進行し動脈硬化が進みます。そのメタボリックシンドロームの傾向がある人は、ない人よりも歯周病のリスクが高いこと、歯周病の原因細菌の血清抗体の数値も高い、つまり血液中に多くの歯周病菌が入り込んで免疫反応が起きていることがわかっています。さらには、メタボリックシンドロームの人は、そうでない人よりも歯垢の量が多かったり、歯が少なかったりというデータもあります。逆に、口の中の状態が悪くなると、メタボリックシンドロームのリスクが高まってくるということも証明されています。
2017年
10月
03日
火
「噛める」ことは健康の基本
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。平成元年に、当時の厚生省と日本歯科医師会が中心になって「8020運動」がスタートしました。「80歳になっても、自分の歯を20本以上保とう!」と、広く呼びかけていますから、聞いたことがある人もいるでしょう。歯が上下合わせて20本以上あれば、大体の食品を容易に噛めて、食生活に満足できます。そして、この「噛める」ということは、生命維持の最も基本的な条件の1つということがわかっています。というのも、ある調査で、65歳以上の地域住民を9年間追跡したところ、何でも食べられると感じている人は、そうでない人より死亡率が1.63倍低かったそうです。回答者たちの他の病気や社会活動などとは関係なく、この数字が出ています。噛めること、その中でも特に、奥歯の嚙み合わせは、咀嚼するのに最も重要なことの1つです。嚙み合わせがしっかりしていることは、口にする食材の多様性につながります。それだけ、食事を楽しめるということになるのです。また、残念ながら自分の歯を失ってしまって、もう20本も残っていないという人も、長生きは無理か…などと悲観することはありません。咀嚼できることが大切なのですから、義歯を使って自分の歯のようにちゃんと噛めれば問題はありません。それは、65歳以上の女性を8年間追跡した別の調査の結果が証明してくれています。この調査によれば、嚙み合わせがなく、義歯も使っていない人の死亡率は、義歯を使っている人の1.52倍も高くなってしまうことがわかりました。ちなみに、奥歯で噛める人は、まったく嚙み合わせがない人に比べて、死亡率が0.78倍と低かったそうです。できれば、できるだけ長く自分の歯で、それが難しくなっても、ピッタリ合った義歯で自分の歯のように噛めることが、健康寿命を延ばすためにも必須といえるでしょう。
2017年
10月
02日
月
歯がよいと医療費がかからない
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。健康な晩年を迎えるためには、口の中をよい状態に保つことが大切です。いつまでも元気で重篤な病気などの心配さえなければ、病院通いや毎食後、何種類もの薬を服用しないといけない生活を強いられることもありません。つまり、歯を中心に口の中の状態がよければ、老後の限られた生活費の中から捻出しなければならない医療費も抑えられることになります。元気な高齢者が増えれば、今後ますます重要な国の課題でもある医療費の削減にもつながります。実際、この歯と医療費に関して、最近とても興味深いデータが発表されています。まず1つめは、東北大学の加齢歯科学講座の調査で、50歳以上の約3万人を対象に行われました。この調査によれば、歯が4本以下しか残っていない人の場合、20本以上残っている人に比べて、1ヶ月の平均医療費が約5600円も多くかかっているという結果が出ています。歯周病その他が原因で歯を失ってしまい、残っている歯が少ない人ほど医療費が高くなっているのです。2つめは、香川県歯科医師会による調査結果です。残存歯数と医療費の関係について調査したところ、残存歯数が20本以上ある人の年間医療費が35万5688円だったのに対し、4本以下の人は60万8740円と1.7倍になることがわかりました。そして、もう1つは、北海道国民健康保険団体連合会による調査です。2007年の調査ということですが、20本以上歯が残っている70歳以上の高齢者は、4本以下の人に比べて、全身の病気に関係した診療費が37%も少ないという結果が出ています。これらの数字をざっと眺めただけでも、高齢になっても多くの歯が残っている人は、医療費が少なくてすむ、というのは間違いないようです。「医療費がかからない高齢者」は多分、健康寿命が長くなっているはずです。これが豊かな人生につながることはいうまでもありません。健康を維持し、病気を予防するということは、最高のアンチエイジングといえます。そこに、歯の健康は深く関わっているのです。
2017年
10月
01日
日
あらゆる病気は口から侵入する
お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。飲んだり食べたり、呼吸をしたりするたびに、口には体の外からいろいろなものが入ってきます。水や栄養分のように有益なものもあれば、細菌のように有害なものも否応なく入り込んできます。体に異常をもたらす病原体のうち、経口感染、飛沫感染、空気感染…さまざまな形で、口から侵入してくるものがたくさんあります。口は、あらゆる病気の入り口でもあるのです。ということは、そうした病気の感染を防ぐためには、口の中、とりわけ口腔粘膜の健康が非常に大事なキーポイントになるということです。なぜなら、粘膜は、病原体の侵入を防いで体を守るバリアの役割を果たしているからです。口腔粘膜の特徴は表面を粘液(唾液)でカバーされていることです。そこが、乾燥している皮膚とは決定的に違うところです。このネバネバの粘液が、病原体をブロックする働きをしているのです。この粘液がきちんと分泌されているかどうかで、病原体を防ぐ力が強くも弱くもなります。唾液の分泌が少なく口の中が渇いていると、このパワーが十分に発揮できなくなります。粘液のネバネバのモトは、ムチンというタンパク質の一種です。そして病原体を排除する機能を果たしているのは分泌型免疫グロブリン(IgA)と呼ばれる物質です。粘膜の免疫力の中心を担っていて、これもタンパク質からつくられています。口の中では、ムチンのような物理的バリアやグロブリンの免疫的バリアに加え、もう一つ、化学的バリアがあって、体を守ってくれています。それは、唾液に含まれるリゾチームやラクトフェリンで、強い抗菌作用がある物質として知られています。リゾチームは細菌の細胞膜を加水分解し、ラクトフェリンは細菌から増殖に必要な鉄を奪って作用します。ラクトフェリンは、さらに腸内細菌によい影響を与えることもわかっています。グロブリン同様、どちらもタンパク質からつくられています。このように、口は常に、病原体の侵入のリスクにさらされていますが、物理的、化学的、そして免疫と何重ものバリアに守られているのです。口の中をよい状態に保つことは、あらゆる病気を予防することにつながります。しっかりとケアをして免疫力を高め、虫歯や歯周病だけでなく病気知らずの健康な体を維持していくようにしましょう。