2016年5月ブログ

2016年

5月

31日

血行が良くなる「1対2呼吸法」

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。体を良い状態にするために一番重要なのは、呼吸です。「え?血流じゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、その血流を良くするのが呼吸なのです。重いものを持ち上げるときをイメージしてください。人は緊張すると呼吸を止めたり、浅くしてしまいます。仕事中でも、締め切り間際で1分1秒も惜しいときとか、上司が怖い顔で横から見ているときなど、呼吸は浅くなっているはずです。呼吸を止めると、末梢の血流はその瞬間に止まります。これはもう、測定器で見ていても驚くくらい、パタッと止まるのです。また、緊張やストレスで下がった副交感神経は、息を吐かなければ上がりません。ストレスに襲われたときや緊張したとき、ため息をつきますね。悪いイメージがありますが、浅くなりすぎた呼吸を、大きく吐いて深い状態に戻すという意味があるのです。体にとっては非常に合理的なものです。現代人はふだんから呼吸が浅くなっています。交感神経優位の人が多いのと表裏一体の関係にあります。「深い呼吸」を意識して、ふだんの生活の中で習慣にすれば、着実にトータルパワーを上げることができます。そこで、おススメなのが「1対2呼吸法」です。やり方はいたってシンプルです。「3~4秒間、鼻から息を吸い、6~8秒かけて口から吐き出す」これだけです。息を吐くほうに意識を向けてください。ゆっくり息を吐くことで、頭と胴体をつないでいる頸部にある「圧受容体」が反応して、副交感神経の働きが高められます。たったこれだけのことで、全身の血行が良くなり、肩こりや頭痛を軽減できるのです。よく、「呼吸は腹式がいい」といわれますが、あまり気にする必要はありません。「1対2呼吸法」を繰り返しているうちに、血の巡りが良くなっていくことを実感できます。「調子が上がらないな」とか「イライラしてるな」と思ったらやってみてください。仕事や勉強の最中はもちろん、通勤電車の中や大事な試験やプレゼンの前など、この呼吸法を習慣にすると、体の調子はどんどん良くなっていきます。

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2016年

5月

30日

自律神経力は「生まれつき」ではない

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「自律神経は、自分でコントロールできない」というイメージを持っている方は多いと思います。もちろん、心臓の拍動とか、眠っているときの呼吸とか、内蔵の動きを自在に操ることなどできません。しかし、ふだんの生活習慣を少し変えることによって、バランスを整え、2つの神経がより活性化する状態をつくることは、あまり知られていませんが、十分に可能です。交感神経と副交感神経の状態は、数値で表せますが、その合計を、その人の「自律神経力」という言葉で表します。いわば、「その人の自律神経の総合得点」です。たとえば、トップアスリートは交感・副交感神経がどちらも高く、「交感神経250+副交感神経250」くらいです。自律神経力は、合計で500ということになります。ただし同じ「トータル500」でも、「400と100の人」より「250と250の人」の方が、パフォーマンスはずっと高くなります。これが「バランスが大事」ということです。「400と100」では、せっかくの「400」を発揮できないのです。一般の方の場合、150と150で「トータル300」なら、健康でいきいきした毎日を過ごしている状態といってよいでしょう。今の時代、多くの方は、「200と100」というように、交感神経が優位になっていますから、副交感神経を上げる生活習慣を取り入れ、交感神経を上げすぎる習慣を改めると良いのです。なかには「交感100、副交感200」といった副交感神経が優位の人もいます。また、「交感50、副交感50」で「トータル100」では低すぎ、疲労状態です。自律神経力は、生まれつきのものではありません。ふだんのちょっとした生活習慣でアップできるのです。では鍛えるにはどうすればいいのでしょうか。よく、アスリートが「心技体」といいますね。ロンドン五輪で、柔道の解説をしていた野村忠宏選手が、「心技体のうちどれが一番大事ですか」と聞かれ、「心」と答えていました。たしかに心は大事です。「病は気から」ともいいますし、心と体がつながっていることは事実です。しかし、オリンピックで優勝するレベルの体の人だから「心」なのです。体や技に問題のある人が、心に頼ってもどうにもなりません。オリンピックレベルの体を持っていない私たちは、まず体です。体の状態を整えることから始めましょう。目指すのは「全身のすみずみまで質の良い血液が行き渡っている状態」です。

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2016年

5月

29日

いつもよりイライラしたら「体」をチェック

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。これという原因はないのに、「なんだかやる気が出ない」ということは、誰にでもあるでしょう。こういうとき、「あの人に言われたことがストレスになってるのかな」とか「意志が弱いな」などと考えるより、まず、「私の体は今、大丈夫か?」と考えてみてください。・睡眠時間は、足りているか。夜更かしが続いていなかったか。・質の良い食事を規則的にとれていたか。食事を抜いたり、食欲がなかったり、逆に食べ過ぎたり、深夜にラーメンを食べて寝たりしていなかったか。・適度に運動をしていたか。運動不足や、激しい運動のしすぎはなかったか。・体を冷やしたり、冷やしたまま寝たりしなかったか。・お酒を飲み過ぎなかったか。…こういった基本的なチェックをしてみましょう。問題があったら、そこを改めることが大切です。「やる気が出ない」といった、自覚症状が出てきたときは、すでに体の不調は進んでいると考えるべきです。少し前には、・小さな、自分の中で処理できてしまうようなミス(他人には気がつかれずにすむミス)が増えてきた。・ちょっとしたことでイライラしてしまう。…といったことがあったのではないでしょうか?こういう変調が出てきたら、すぐに「体は大丈夫か」をチェックしましょう。多くの場合、思い当たる原因があるはずです。原因が思い当たらず、あるいは思い当たるところを改善しても回復しない場合、病院で血液検査を受けることも大事です。例えば、肝臓や腎臓の機能が悪ければ食欲も減退し、すべてのパフォーマンスは落ちます。これは気力で解決する問題ではありません。まずは体を整える。それができれば、「心」は後から自然についてくるのです。

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2016年

5月

28日

交感神経は悪者ではない

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「交感神経は悪者なんだ、抑えなきゃ!」と考える方も多いのではないでしょうか。しかし決して悪者ではありません。車でいえば「アクセル」であり、「エンジン」です。「いいエンジン」がなくては、いい走りはできません。多くのアスリートたちも、勝負のかかった瞬間の自律神経は、必ず交感神経が優位になっています。これは、時間内に大事な企画書を仕上げなくてはならないビジネスマンや、追い込み時期の受験生も同じでしょう。ただ怖いのは、その状態からいつまでも脱出できずに、緊張状態が長く続いてしまうことです。交感神経優位のときは血管は収縮しています。いつまでも収縮しっぱなしでいいわけがありません。以前、触れたように、バランスがくずれると赤血球が壊れるうえに、血管が収縮を続ける悪循環です。また、いったん優位になった交感神経は、2時間は元に戻らないことがわかってきています。夜遅くまでの残業のあと、なかなか寝つけないのは、横になってもすぐには副交感神経優位にはなれないからなのです。大事なのは、緊張と弛緩を、バランスよく組み合わせることです。

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2016年

5月

27日

男性30歳、女性40歳が「副交感神経の曲がり角」

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。自律神経のバランスですが、私たちが生きている今の時代は、バランスが乱れる原因があちこちにあふれています。時間に追われる忙しい毎日、満員電車、人間関係のストレス、いつでもどこでも追いかけてくるメール…ほとんどの人はストレスがたまっているから、どちらかというと交感神経が優位で、副交感神経が下がっています。するとどうなるかというと、血管が収縮してしまい、血流が悪くなります。便秘や冷えはこれが原因です。また、副交感神経が下がるとリンパ球の働きが鈍くなり、免疫力が下がり、感染症にかかりやすくなって風邪をひきやすい体質になってしまうのです。便秘というと「女性の症状」というイメージがありますが、実は中高年、とくに50代の男性も多くが当てはまります。また、最近は夏場でも手足の冷えを訴える人が少なくないうえ、多くの男性が「冷え」に悩まされています。冷房のききすぎなどの影響もありますが、背景には「男女ともに、交感神経が優位になりすぎ、副交感神経が低下している」という、バランスのくずれた状態があると考えられるのです。交感神経の働きは年を重ねてもさほど変わらないのですが、副交感神経の働きは、男性は30歳、女性は40歳を境に低下していきます。この年齢を過ぎたら、意識して副交感神経を上げ、良いバランスを保つ生活をしていくことが大事です。私たちは、時代と年齢の「ダブルパンチ」に見舞われているわけで、放っておくとバランスはすぐに崩れてしまうからです。

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2016年

5月

26日

不安定な人は「血管を通れない血液」になっている

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「顔色悪いね」と言われて、「自分では気になってなかったけど」と思いながら鏡をみたらたしかに良くなった、ということはありませんか?こういうとき、「少し休めばすぐ戻るだろう」と安易に考えるのは危険です。顔色が悪いのは、体内の血流が悪くなっていて「血液の質」そのものが低下しているサインです。身体的に見た「健康」とはどういう状態でしょう?「質の良い血液が、全身の隅々まで、一つひとつの細胞にまで流れている状態」とも言えます。この状態をいかに自分のものにし、長くキープするか、それが大事です。この状態であれば、まず体が良い状態になります。体が良ければ心も良い状態で安定します。「健全な心は健全な肉体に宿る」といいますが、その通りです。心身ともに良い状態で安定していると、表情、話し方、姿勢、立ち居振る舞いも整ってきて、人にも良い印象を与えます。これこそが、私たちが目指すべき、広い意味の健康と言えるでしょう。血流の良し悪しをコントロールしているのは、自律神経です。自律神経が安定していれば、体の隅々まで「質の良い血液」が十分に行き渡るため、肝臓をはじめ臓器も十分に働き、疲労も回復しやすくなり、顔色や姿勢も良い状態になります。体の調子が良いと、心の状態も安定してきます。血液を顕微鏡で見てみると、自律神経のバランスがいいか悪いかは一目瞭然です。バランスの悪い人の血液は、本来ならば丸くきれいな形をしているはずの赤血球が、変形したりくっついています。ひどくなると完全に壊れてしまっているものもあります。壊れた赤血球では酸素を運ぶことができないし、壊れていなくともくっついていたのでは、細かい末梢血管の細胞内を通ることができません。バランスが乱れた人は、体の隅々まで酸素を運べない血液になっているのです。逆に、自律神経のバランスをより高いレベルで安定させて、質のいいきれいな血液を体の隅々まで行き渡らせることができれば、体のあらゆる機能が向上して、いきいきと若々しく、冴えた毎日を送ることができるのです。

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2016年

5月

24日

脳のネットワークは、壊れた領域をカバーする

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳は奇跡とも思えることを起こすことがあります。病気や事故で脳にダメージを受け、何年もの長い期間反応のない患者さんに、積極的に話しかけたり手足を動かしたりと、献身的に刺激を与え続けていたら、少しずつ反応が出てきて回復したというすばらしい事実もあります。刺激を与え続けることが脳にプラスに働いた、まさに「脳の可塑性」を表すものです。脳は一度損傷してしまった部分は、元にもどることはありません。ではなぜ、失われてしまった機能をとりもどすことができたのでしょうか。それは、脳には病気や事故などの障害、老化によって脳の神経細胞と神経細胞のネットワークに損傷が起きた場合、新しいネットワークを再編成して、そのネットワークを活性化させる働きがあるのです。例えば脳梗塞などによって脳に損傷が起きた場合、壊れてしまった領域は再生しないのですが、周りの領域が壊れた部分の働きをカバーしたり、脳の右半球でできなくなったことを左半球で代替えしたりして、失った能力を新たに獲得することがわかっています。子供に近ければ近いほど、その「可塑性」は高いといえますが、高齢者であっても脳に刺激を与え続けていると、それがプラスに働き効果をもたらす場合があります。プロ野球の名選手で読売巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんは、発作性心房細動にともなう脳梗塞で倒れました。医師には「寝たきりも覚悟しておいてください」といわれるほどの重症でした。それが皆さんもご存知のように、普通の人には耐えられないような厳しいリハビリテーションを重ね、見事に奇跡的な復活を遂げられたのです。すでに損傷して機能を失った脳ではなく、長嶋さんの超人的なリハビリテーションが他の脳の領域を活性化し、「新たなネットワーク」をつくり、見事に長嶋さんを復活させたといえるでしょう。「本人があきらめないと、脳もあきらめない!」・・・長嶋さんは、私たちに大切なことを教えてくれています。

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2016年

5月

23日

脳は「トレーニング」で変化する

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳は、一般的に12歳前後の思春期の頃にほぼ完成するといわれています。そして完成した後の脳は、従来スタティック、つまり静的で形態が変化しないものだと思われてきました。ところが2004年にその定説をくつがえす衝撃的な発表が科学雑誌「Nature(ネイチャー)」に掲載されたのです。その衝撃的な内容とは、大学生を対象に大道芸などで見られる「複数のものを空中に投げ続けるジャグリング」をやってもらったところ、頭頂葉や側頭葉の脳の体積が増えたというものでした。このことによって、脳はスタティックなものではなくダイナミックなもの、つまり動的なもので、脳はトレーニングによって変化するものであることがわかったのです。その後、ピアノのトレーニングをすると、やればやるだけ右の脳と左の脳をつなぐ「脳梁」という領域が厚くなることや、バスケットボールの選手やバレエダンサーなどは運動に関係する脳の領域が大きくなることなど、「脳は変化する」ということが次々と報告されてきました。脳の完成後、新たに神経細胞を生み出すことができるのは海馬だけですが、海馬以外の領域に至っても、脳はトレーニングによって神経細胞と神経細胞をつなぐネットワークを発達させ、体積を増やし、その部分の働きを増やす能力を持っていることがわかったのです。つまり脳には、外部からの刺激や作用によって形が変化する「可塑性」のあることがわかったのです。これは海馬の神経新生の事実に加え、脳科学の歴史を大きく塗り替える発見ということができるでしょう。そして、これは脳の限りない可能性をも意味します。これらの可塑性は若年層に多く見られるものですが、先にあげたジャグリングのトレーニングでは、平均60歳の健常な高齢者を対象にした検証でも同じような結果が得られたという報告があります。中年期、または高齢であっても、脳は変化する可能性が充分にあるということです。

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2016年

5月

22日

いくつになっても「海馬」の体積は増える

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「脳の細胞は大人になったら、あとはもう減るだけ」と、当然のように誰もがそう思ってきました。脳医科学の世界でも、脳の神経細胞は加齢とともにどんどん減る一方で、もう新しく生まれないと思われてきたのです。しかし、実際はそうではなかったのです。1998年、脳の世界において天動説が地動説に塗り替えられるような発見が、アメリカの研究者によって発表されました。記憶や脳の中枢を担う海馬だけは、いくつになっても神経細胞が新しく生まれ、海馬の体積を増やすことがわかったのです。つい、十数年前の出来事です。実験は余命短いガン患者さんの、死後の解剖までの同意と協力によって行われました。ガン細胞が増える時に赤い色を放つ薬品の投与を行い、死後直後に脳の解剖を行ったところ、海馬の神経細胞が増えている事実をつきとめたのです。この世紀の発見は、「皆さんのためにお役に立てるのなら」と協力をしてくださった多くの患者さんたちのたまものでした。その後、さまざまな実験が世界中で行われるようになり、海馬の脳細胞はいくつになっても生まれ、その体積の増えることが立証されてきたのです。このような興味深い報告もあります。ロンドンの道路はとても複雑で、タクシー運転手の試験が難しいことでも有名です。イギリス人から見ると、「こんな入り組んだ道に迷うことなく自由自在にどこにでも行ける運転手の脳は、普通の人と絶対に違う!」という思いがあるようです。そこで、あるイギリスの研究者が複数のタクシー運転手の脳を調べたところ、やはり「海馬」の体積が増えていたのです。さらにベテランになればなるほど、この海馬の体積は大きかったという報告がされています。海馬はアルツハイマー型認知症やうつ病で最も障害を受けやすい場所であり、海馬が損傷すると記憶という大切な働きが失われます。この「人間らしさ」にとって重要な海馬の神経細胞が、高齢になってからも増殖して、しかも海馬そのものの体積をふやす・・・これは、脳医科学の常識が破られる大発見であり、まさに、高齢になっても「脳には輝かしい未来がある」ことを意味します

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2016年

5月

21日

「音楽」は脳の「報酬系」を刺激する

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。楽器を演奏することの次に、音楽の脳に良いところは「聴く」ことです。音楽を聴くと、とても良い気持ちになります。ここでもまた脳の中では、すごいことが起きているのです。脳は、ごほうびをもらったような状態になっているのです。音楽を聴くと、前にも述べた脳の「報酬系」と呼ばれる領域が活発になることが、カナダの大学での研究からわかっています。「報酬系」というのは、さらに詳しくお話しすると、欲求が満たされたときに活性化して、心地よいという感覚を与える神経伝達物質を放出する神経系のことです。会社で「給料が上がる」などの良いニュースを聞くと、とても良い気持ちになってやる気が出たりしますが、欲求が満たされると予測することでも、脳は活性化するのです。「報酬系」の領域が活性化されると、灰白質の体積が増えるという報告もあります。よく、「ほめて伸ばす」という言葉がありますが、まさにそれにあたります。つまり音楽を聴くと、欲求が満たされたり、ほめられたりしたときと同じような心地よい気持ちに自然となるのです。また、音楽を聴くと、一部の領域だけでなく、多くの領域の働きが活発になることがわかっています。音楽を聴くだけでも、脳にとても良いのです。では、「歌う」ことは、脳にどのような働きがあるのでしょうか。歌も、当たり前に歌っているようですが、そうではありません。歌詞を覚えたり、メロディーを覚えたりしています。脳をとても使っているのです。また、カラオケで歌うと、ストレスが発散されて、高血圧の人の血圧が下がったという報告がたくさんあります。ストレスも高血圧も脳に悪影響を及ぼします。カラオケは、脳にとって悪いものをはねのけてくれる働きがあるといえます。さらに、音楽には記憶を引き出すという働きがあります。昔聴いていた曲が偶然流れてきたりすると、その頃の記憶がよみがえるということがよくあります。知っている音楽を聴くと、記憶をつかさどる「海馬」などが刺激され「思い出す」という働きが起こり、その音楽の流れていた時に体験していた出来事が一緒に引き出されるのです。いいかえれば頭の中に保存されている情報を、音楽によって引き出すことができるのです。この記憶を引き出す方法は、脳出血や脳梗塞、またはケガなどによって起こる記憶の障害の治療にも使われています。ですから、昔聴いていた曲をたくさん聴くことは、「記憶」の領域にどんどん刺激を与えることになるのです。

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2016年

5月

20日

「音楽」は脳を活性化する

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳のために、「音楽」もまた抜きにすることはできません。音楽は自分で楽器を演奏したり、歌を歌ったり、また、聴くだけでも本当に楽しく、気持ちもとても落ち着きます。音楽は、精神面に良い作用を及ぼすだけではなく、脳の働きにとても良い効果があるのです。いま音楽は認知症の予防や進行抑制、また治療のためにも取り入れられ注目されています。音楽には良いことがいっぱいです。まず「楽器を演奏する」ことです。演奏は指先を動かすので、脳を刺激し活性化させます。実際には指先だけでなく、指先から肘、肩、体幹まで、普段は同時に使うことのないいろいろな筋肉や関節を使っています。これほど多くの関節運動を、意識的にコントロールすることは不可能です。しかし、楽器演奏は、無意識にさまざまな関節を使って運動していることになるのです。ピアノの場合には、ペダルを踏むために足まで使うこともあります。ですので、さまざまな脳の領域を刺激していることになります。ピアノは、両手それぞれに違う音を演奏することから、ピアノのトレーニングを長くやればやるほど、脳の右と左をつなぐ「脳梁」といわれる部分の厚みが増すといわれています。「楽譜を見ながら演奏する」場合には、さらに脳が使われています。楽譜を見ながら演奏する作業は、当たり前にできているように感じますが、実は脳の中で、ものすごい作業が行われています。まず、楽譜を見ます。それを脳の「作業記憶」というところで保ちます。次に、言語や音韻情報の貯蔵庫の役割を持った「音韻ループ」と呼ばれるところに記憶させます。それから、手を使って楽器を演奏することで、その情報をアウトプットします。この一連の流れの中に、たくさんの認知機能がフル回転しているのです。また音楽を演奏することは、創造することにつながります。何かを創り出すことは、「人間らしさ」にとって重要な「前頭葉」の働きを高めることにもなります。

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2016年

5月

19日

楽しい!嬉しい!が脳を元気にする

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。なぜ、ワクワク、ドキドキが脳に良いのでしょうか。このワクワク、ドキドキと深くかかわっているのが「扁桃体」と呼ばれる脳の領域と、神経伝達物質である「ドーパミン」です。「扁桃体」はアーモンドのような形をした直径わずか1cmほどの小さな脳の領域です。「見る」「聞く」「触る」「嗅ぐ」「味わう」など感覚で得た情報が扁桃体に伝わります。そこで扁桃体は、好きとか嫌いとか、心地よいとか不快とか、あらゆる感情に仕分けしていきます。その仕分けのときに、楽しい!嬉しい!おいしい!素敵!と感じた時、扁桃体は「報酬系」とよばれる神経器官に指令を出して神経伝達物質を放出させます。その報酬系の伝達物質がドーパミンです。このドーパミンが記憶力を高め、また、心地よいという気持ちや、達成感、そしてやる気を生み出します。このプラス感情のときさかんに放出されるドーパミンが、神経細胞から神経細胞へ情報が伝達されることによって、前頭葉はじめ認知機能を担う脳を活性化するとても良い刺激となるのです。ではドーパミン以外に、扁桃体の指令によって放出される神経伝達物質はどのくらいあるかというと、記憶に関するもの、快楽ややる気に関係するもの、精神を安定させるもの、生体のバランスを整えるもの、痛みをやわらげるもの、幸福感につながるものなど、約100種類にも及びます。まさに扁桃体が、感情、つまり人の心をつくり出しているといえます。また「扁桃体」には、もう一つ大きな役割があります。実は「扁桃体」は「海馬」と隣り合った位置にあり、密接に関係しあっているのです。好き嫌いや、快不快の感情は、「扁桃体」から「海馬」に伝えられ、心が揺り動かされるような出来事は強く記憶されます。大切な思い出が「海馬」によって「長期記憶」にしっかりと留められるのは、この「扁桃体」が「海馬」に働きかけたことによるものです。また、怖い、危ないという感情も強く記憶され、これによって、人は危険から身を守っています。感情が記憶の働きに大きく影響していることからも、感情を豊かにすることが、記憶力を高め、脳を健康にすることがわかります。日々、会話を通して笑ったり、映画やテレビで感動して涙を流したり、楽しいと感じることは脳のためにとても良いことなのです。

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2016年

5月

17日

脳の最高の栄養素は「知的好奇心」

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳を活性化させるために、「運動」とならんで重要な要素がまだあります。それは、「知的好奇心」です。探求心・冒険心・追求心などは、みな「知的好奇心」です。見たい!聞きたい!知りたい!行きたい!やりたい!など、さまざまなことに興味関心を持ち、いつもワクワクときめいている状態は脳にとても良いのです。約400名の被験者を8年間にわたって追い、8年後に脳がどのように変化するのか調査が行われました。その結果、「知的好奇心」のレベルの高い人ほど、本来は加齢とともに進む「側頭頭頂部」の萎縮が、他の人々に比べて少なく保たれていることがわかったのです。「側頭頭頂部」もまた、情報の記憶と操作をする「ワーキングメモリー」をはじめ、さまざまな高次の認知機能を担当する領域です。このことからも、まさに「知的好奇心」が、「認知症予防」の重要な役割を果たすことがわかります。また、カリフォルニア大学で行った「知的好奇心と記憶力の関係」調査では、おもしろい結果が出ています。新しいことを学ぼうとする時に、自分の興味関心のあることはすぐに覚えられるのに、まったく興味関心のないものはなかなか覚えられないということが、よくあると思います。この調査では、「人は好奇心を抱いている時には「ドーパミン」という脳内物質が分泌されて記憶効果がアップする」ということを科学的に証明したのです。さらに「好奇心」を持って取り組んだ時の記憶効果は、「短期的な記憶」だけでなく「長期的な記憶」にもなることがわかりました。「好奇心」を「記憶」に結びつけるこの「ドーパミン」は、「好奇心」を抱いた段階ですでに分泌されることもわかっています。「これも知りたい!」「あれも知りたい!」という「知的好奇心」こそ、まさに、脳の最高の栄養素といえます。

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2016年

5月

16日

「PTSD」は認知症のリスクを倍増させる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。ストレスはその程度によって深刻な状況を生み出す場合があります。災害や犯罪の被害にあったり、また戦争やテロなどによって恐ろしい経験をしたり、近親者の死に直面したりすると、心に大きな傷ができてしまう事があります。この傷が、よく聞かれる言葉「トラウマ」です。このトラウマは、その後も、常に不安感や恐怖感、フラッシュバックと呼ばれる恐ろしいシーンがよみがえる現象などを引き起こします。それによって生活や仕事に影響がでてしまうような症状を「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」といいます。大地震、ハリケーンなど自然災害、地下鉄サリン事件や9.11など歴史的な大きな事件、また戦争などによって、PTSDを発症している例が数多くあります。このようにトラウマをつくりPTSDを引き起こす強いストレスは、海馬の委縮を促進させるだけでなく、「情動」をつかさどる「帯状回」という領域も萎縮させることが明らかになっています。実際、湾岸戦争の帰還兵は海馬が、地下鉄サリン事件の被害者の方は帯状回が萎縮しているという報告があります。また、四川大地震、ハリケーン「カトリーナ」をはじめとする災害やテロ事件などで、PTSDになった方の脳もまた、これらが委縮したという報告があります。東日本大震災もまた、たくさんの人々の心を傷つけ、トラウマを残しました。そして、いまもなお津波の夢を何回も見たり、小さな地震でも揺れを感じると、大地震での恐ろしい光景がフラッシュバックしたりと、PTSD症状による苦しみは続いています。とくに、宮城県、岩手県、福島県の沿岸地域の方は、実際に津波に襲われたり、人が流されていくのを見たり、肉親を亡くされたりしている方も少なからずいらっしゃるので、PTSDの方の数も多いのが現状です。そしてPTSDはその症状だけでなく、さらに大きな問題が指摘されています。それは、認知症を引き起こすリスクです。ストレスによって起こる「海馬」の萎縮は、認知症のリスクにつながることから、PTSDの方は5年から10年後の認知症のリスクが2倍に上がるという報告もあります。

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2016年

5月

15日

ストレスは海馬を萎縮させる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「ストレス」もまた、脳に大きく影響します。ストレスとは、物質に生じる「ゆがみ」の状態をいいます。ボールに例えると、上から押すとボールが形を変えてゆがむように、人間の場合は、心や体が外的な刺激によってゆがむことをストレスの状態といいます。人間は長期間にわたってストレスを受け続けたり、強いストレスを受けたりすると、脳のさまざまな部分、とくに「海馬」が委縮することがわかっています。これは、ストレスによって分泌されるコルチコイドという物質によるものです。コルチコイドは、もともとは、ストレスの原因に立ち向かうために血糖値などを上げる働きのものなのですが、これが長期的に脳の中にたまると、海馬に悪影響を及ぼすのです。いま、ストレスを受けていると感じている人は、30代、40代の働き盛りが一番多く、その原因は、「人間関係」が圧倒的、そして「仕事の質」「仕事の量」と続くと発表されています。ストレスに比較的強いという人たちもいます。一般に社長さんなどの経営者や社会的に地位の高い人、また芸術家などは比較的ストレスの影響を受けにくいとされています。地位が高くなればなるだけ責任も増え、人間関係も複雑化してストレスも多くなるはずですが、では、なぜ仕事のストレスに強いのか。それは、仕事のストレスは、仕事量や責任の重さより、仕事に対する「コントロール・アビリティ」が高いか低いかによって決まるとされているからです。「コントロール・アビリティ」とは、自分をコントロールできる力のこと。高い地位で仕事をしている人は、この「コントロール・アビリティ」が高いのです。「コントロール・アビリティ」の高い人は、認知症になりにくいこともデータ的に証明されています。

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2016年

5月

14日

糖尿病・動脈硬化・高血圧が認知症のリスクを上げる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。認知症が増えている理由のひとつに、「糖尿病」を持つ人が増えてきていることがあげられます。糖尿病では「インスリン」が不足するために、「アミロイドベータたんぱく」が分解されず、脳に蓄積しやすくなるからです。糖尿病だからといって必ず認知症になるわけではありませんが、認知症を引き起こすリスクは高まります。40代、50代で糖尿病を放置すると、将来認知症になる確率は2倍になるといわれています。また、「動脈硬化」「高血圧」を放置することによっても、認知症を発症するリスクが高くなることがわかっています。動脈硬化や高血圧が引き起こす認知症は、アルツハイマー型の次に多い脳血管性認知症です。脳血管性認知症は脳梗塞や脳出血など、脳の血管障害がもとになって認知症を引き起こします。アルツハイマー型認知症のように段階を踏んで進行するのではなく、血管に起こる障害のレベルで状態が異なるので、突然に重度の認知症を引き起こしてしまう可能性もあります。糖尿病、動脈硬化、高血圧の症状が、認知症の引き金になることは知っておく必要があります。ただし、これらの病気はある程度年齢を重ねると、多くの方が一つや二つは持っているかと思います。重要なことは、それらの病気があったとしても、しっかり治療して、血圧や血糖等の動脈硬化を悪化させる要因をコントロールすることです。これにより認知症のリスクを下げることができると考えられます。

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2016年

5月

13日

中高年の肥満は、将来の認知症のリスクを上げる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。アメリカのシーダーズサイナイ・メディカルセンターの研究チームがマウス使って行った「オスとメスの肥満のリスク差」調査があります。その結果は、オスのマウスにのみ、糖尿病や心臓肥大、脳の損傷が見られました。この実験に加え、さらに卵巣を除去したメスのマウスとの比較も行ったところ、オスと同じ傾向が見られました。卵巣を除去したメスは人間でいうと閉経後の女性に相当することから、女性ホルモンの働きが関係していると考えられます。マウスと人間をイコールに扱うことはできませんが、女性ホルモンによって女性の灰白質の体積の減り方が男性に比べゆるやかであることは以前お話しした通りです。女性ホルモンによって、改めていかに女性が守られているかがわかります。このことを裏付けるように、2014年、アメリカ・ワシントンで発表された研究では、高齢になると男女差はなくなってくる報告がされています。これまで肥満と脳の萎縮に関する研究は中年層が中心だったのに対し、この研究は60歳から64歳を対象に8年間行われました。その結果、肥満の被験者では海馬がアルツハイマー型認知症と同じような割合で萎縮していたのです。また60代の被験者のうち、肥満の人は実験当初から海馬が小さかっただけでなく、その萎縮のスピードも速いことがわかりました。この発表は中年時の肥満が、将来、認知症を起こすリスクが高いことを証明するものとなりました。早い段階で食生活を整え、適度な運動を行い、肥満の改善をすることが認知症予防には重要ということなのです。

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2016年

5月

12日

内臓脂肪型の肥満は脳に大敵

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。飲酒と並んで脳の萎縮を進める、もう一つの大きな要因があります。それは、太り過ぎ、つまり「肥満」です。ことに中年期の肥満は、高齢期になってから認知症のリスクを高めるという報告が数多くされています。生活習慣の中で起こるひとつの要因として肥満を取り上げ、肥満の度合いとMRI画像での脳の萎縮との関係が検証されています。その結果、肥満度を表す「BMI」の数値が高いほど、海馬が顕著に萎縮していることがわかったのです。BMI値とは肥満度を測定する指標で、BMI=体重(㎏)÷(身長(m)×身長(m))で計算できます。BMIの指標値は以下の通りです。20未満:やせぎみ、20~24未満:普通、24~26.5未満:太り気味、26.5以上:太り過ぎ。例えば、身長165cm、体重70㎏だとすると、70÷(1.65×1.65)=25.71なので、BMI値は25.7で「太り気味」と判定できます。ただ、研究調査から、興味深いことがわかっています。それは、この肥満による脳の萎縮は男性にしか見られないのです。女性の場合は肥満であっても、脳の萎縮はほとんど見られません。同じ肥満でも、なぜこのように男女に違いがあるのでしょうか。実は、肥満とひとくくりにしていますが、男性と女性では、それぞれ肥満のタイプが異なります。一般に女性は皮下脂肪型肥満と呼ばれるもので、健康にはほとんど影響を及ばしません。一方、男性は圧倒的に内臓脂肪型肥満が多く、お腹だけプクッと出ているチューリップ型、ナシ型タイプの肥満がそれにあたります。男性に多いこうした内臓脂肪型肥満タイプの人は、インスリンや満腹抑制ホルモンであるレプシンの作用効果が減ることがわかっていて、それが脳に対して悪い影響を与えているのではないかと考えられています。

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2016年

5月

10日

飲酒は脳を萎縮させる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。多くの方々の「脳のMRI画像」と「生活習慣データ」の関係から脳の萎縮が進む原因がわかってきました。その一つが「お酒の飲み方」です。飲酒の習慣やその量が、脳の萎縮に大きく関係することがわかったのです。慢性アルコール中毒の患者さんの脳をMRI画像で見ると、脳のさまざまな部分に重度の萎縮が見られます。そこで、飲酒と脳の萎縮の関係をつきとめるために、具体的には「1日にどのような種類のお酒を、どれくらい飲むのか」「1週間に何回飲むのか」「そうした飲酒の習慣を何年続けているのか」など詳細なヒアリングを行い、これまでに摂取してきたアルコールの成分であるエタノール量の総計を計算し、データ化しました。そして、それらの数値と脳の体積の相関関係をみたところ、アルコールの摂取量が多い人ほど、脳に委縮が見られ、中でも「前頭前野」の領域が委縮していることがわかったのです。「前頭前野」は高次認知機能を担う重要な領域です。飲酒が、人間らしさをつかさどる前頭前野に大きなダメージを与えることがわかったのです。また、毎日ビール大瓶を3本以上飲むような人は、半月に1回350mlの缶ビールを飲む程度の人に比べて、一割近く脳が委縮することもわかっています。アメリカの大学でも平均60歳の男女1839名を飲酒量ごとに5つのグループに分け、MRIによって脳の体積を測定する調査が行われています。ここでも同様に、大量に飲酒しているグループの脳の萎縮度が最も高く、全く飲まないグループの萎縮度が最も小さかったと報告されています。飲酒と脳の萎縮の関係のメカニズムは、まだはっきりと解明されていませんが、脳が委縮しない目安の量というのは存在せず、言えることは、お酒は飲めば飲むだけ、脳は委縮し、飲まなければ飲まないほど萎縮しないということです。ただ、お酒の量と脳の萎縮のスピードの関係は、アルコールの分解酵素など、遺伝子の関係もあります。飲めない人が無理して飲むのは、とくに脳の萎縮を進める危険があることがわかっています。脳の萎縮を防ぐには、飲めない方はできるだけ飲まない、ある程度飲める方は、控えめにすることが重要です。

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2016年

5月

08日

充分な時間と質の良い「睡眠」が脳を守る②

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。睡眠にはもう一つ「ストレスを取り除く」という働きもあります。ストレスは脳にとても悪い影響を及ぼします。ですから、睡眠によってストレスを軽減することは、とても重要なことといえます。では、どのくらいの睡眠が良いのかというと、研究調査の結果として理想的な睡眠時間は7時間程度とされています。ただし高齢になってくると、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまったりすることによって睡眠が浅くなりがちです。そのため、少しでも多く睡眠時間をとるためには、毎晩同じ時間にベッドや布団に入り、同じ時間に起きる習慣をつけていくことが大切です。昼間日光を浴びる時間をつくると、体内時計が機能して夜寝つきやすくなります。反対に睡眠の妨げになることとして、遅い食事があげられます。就寝に近い時間の食事は、寝るときに胃を働かさなければならず質の良い睡眠は得られません。また、テレビやパソコンなどの強い光も脳を刺激し、メラトニンという睡眠導入のためのホルモンを抑えてしまうことがわかっています。できれば睡眠の2時間くらい前から食事や、テレビ、パソコンを控え、睡眠のための環境を整えると、快適な睡眠がとりやすくなります。規則正しい生活習慣で、充分な睡眠時間をとりましょう。気持ちよく寝るだけで脳はどんどん健康になるのですから、こんなに嬉しいことはありません。

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2016年

5月

07日

充分な時間と質の良い「睡眠」が脳を守る

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「睡眠」の時間と質もまた、脳の健康に大きく関係することもわかってきました。シンガポールで長年にわたり続けられてきた睡眠と認知機能との関係調査で、「睡眠時間が短い高齢者は脳の老化が早い」という結果が2014年に発表されました。睡眠時間が1時間短いと、1年ごとに脳の中にできる隙間が0.59%ずつ拡大し、脳が萎縮していくことがわかったのです。認知機能もまた、1年ごとに0.67%ずつ低下することがわかっています。このことから充分な睡眠時間が、萎縮のない健康な脳を保つために必要であるということが明らかになりました。また、睡眠には、アルツハイマー型認知症の原因となる「アミロイドベータ」を洗い流す働きもあります。脳は、寝ている間にも働き続けています。脳細胞同士のネットワークを効率化する作業や、記憶を整理したり定着させる働きも寝ている間に行われています。一言でいうと「脳のメンテナンス」を行っているのです。睡眠中に細胞同士の結びつきが最適な状態になることで、記憶の力も強化されるというわけです。睡眠が記憶の働きに大きく関係していることもあわせると、睡眠が認知症予防に大きな働きを及ぼすことがわかります。

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2016年

5月

06日

有酸素運動はなぜ脳に良いのか

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「有酸素運動」が脳を活性化し、認知症の改善や予防にまで大きな効果を上げていることが世界中から報告されています。では、なぜ「有酸素運動」が脳に良いのでしょうか。それは、脳細胞のエネルギー源ともいえる重要な栄養素「BDNF(脳由来神経栄養因子)」という物質が、有酸素運動によって体内につくられるからです。この栄養素は記憶の働きをつかさどり、脳の中枢を担う「海馬」に大きく関わりを持っています。この栄養素は加齢とともにどんどん減り、認知症の方ほど減り方は著しくなります。つまり、脳の萎縮が進んでいる人ほど、この栄養素が少なくなっていることがわかります。アメリカのピッツバーグ大学では、55歳から80歳までの健常な男女120名を、有酸素運動と、有酸素ではない運動を行うグループに分けて1年、比較調査を行いました。その結果、有酸素運動ではないグループは海馬が減っていたのに対し、有酸素運動を行ったグループは維持するどころか、海馬の体積が増大したのです。つまり有酸素運動をすると、脳にとって大切な栄養素がつくられ、それが海馬の体積を大きくして認知機能を高めるということがわかったのです。有酸素運動の効果はこれだけではありません。有酸素運動はさらに、「認知症」を引き起こす原因の「アミロイドベータ」を壊す酵素を発生させたり、脳への血流を増加させたりします。また感情をコントロールする物質を増やしたり、動脈硬化の原因となる物質や遺伝子を傷つける物質を追い出すなど脳のために良いことだらけなのです。有酸素運動が脳にもたらす効果は、このようにすばらしいものがあります。そして、その効果は、わずか30分の有酸素運動で得られることがわかっています。大切なことは、一定の心拍数で有酸素運動をすることです。歩くことでも、ジョギングでも、水泳でも30分程度で効果があるのですから、無理のない時間と程度で有酸素運動を楽しみましょう。せっかくがんばっても、疲れて次回につながらないのはもったいないことです。体に無理な負担をかけず、できる日は少なくとも30分は続けましょう。まさに「継続は力なり」です。

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2016年

5月

01日

認知症の治療は進化している

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。認知症に対する喜ばしい効果は、「ユマニチュード」のようなケアの方法だけでなく、認知症の治療法や、認知力の低下を抑える方法に対しても次々と発見され、日本、そして、世界各国から報告されています。イギリスでは、心筋梗塞や虚血性心疾患を減らすために大々的にとられた政策で、副次的に認知症をかなりおさえたというデータが発表されました。イギリスの高齢者7500人を対象にした調査で、増える一方と思われていた認知症患者数が、1990年代と比べ2010年代では、明らかに減少したのです。その原因を調べたところ、イギリスが国家政策として行った心筋梗塞や虚血性心疾患などの心臓病を減らす対策が、脳にも良い影響を及ぼしたことがわかったのです。以前は一度なってしまったらもう回復はしないと考えられていた認知症を、そもそも抑えることができる、また、発症したとしても、あるところで、急激な認知力低下を抑え、できるだけゆるやかにすることができるであろうことを確信できるようになったのです。また日本では、2014年、兵庫県淡路島で行われた調査から、「シロスタゾール」という動脈硬化の再発を防ぐ薬がアルツハイマー病の進行を抑えることがわかりました。アルツハイマー型認知症の方の中で、進行が止まっている、また進行が遅い人がいることがわかり、その人たちを調べてみると、みな動脈硬化の再発を防ぐために、この薬を服用しているという共通点が見つかりました。この薬は、血液をさらさらにし、血液の塊が血管の中に詰まらないようにするものですが、アルツハイマー病の原因となるアミロイドベータを減少させる働きがあることがわかったのです。また、ワシントン大学では、アルツハイマー病の場合、脳が糖をエネルギーとして取り込むことができない、すなわち、糖尿病の症状が脳に起きていることをつきとめました。そして、糖尿病で使われるインスリンを、鼻腔からスプレーで噴射し、直接脳に送り込む実験を行ったところ、認知機能の低下が抑えられることがわかりました。このように、新薬ではなく、既存の薬が認知症に効果をもたらすことがわかったのです。新薬であれば、開発までに15年から20年はかかるのですが、既存薬であれば、5年ほどで、認知症の薬として使えるようになると考えられます。こうしている今でも世界各国でさまざまな実験が行われ、次々と報告がされています。そう遠くはない将来、認知症の治療、そして予防が可能になるところまで来ているのです。

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