2016年4月ブログ
2016年
4月
30日
土
優しくされると脳のストレスホルモンが減る
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。前回「ユマニチュード」につてお話ししましたが、なぜ、「ユマニチュード」が奇跡のような効果をもたらしたのでしょうか。それは、脳のストレスホルモンに関係があると考えられます。ワシントン大学での研究によると、アルツハイマー型認知症では脳の中にストレスホルモンが多くなり、脳が興奮することによって、暴行、暴言などの攻撃的な行為や徘徊などが起こることがわかっています。このストレスホルモンをコントロールしているのが「海馬」で、アルツハイマー病が海馬を萎縮させることから、ストレスホルモンの分泌の抑制ができなくなるのです。暴行や徘徊などから患者さんの安全を守るために、やむを得ず体を拘束する処置がとられることがありますが、これはさらにストレスホルモンを増やし、攻撃的な行動を悪化させることになります。一方、アメリカのアズサパシフィック大学での研究では、優しく触れるケアによって、ストレスホルモンの分泌が減り、徘徊、暴力の減ることが報告されています。心地よいと感じることによってストレスホルモンが減るのです。ユマニチュードは、まさに、脳内のストレスホルモンを減少させ、脳の興奮を鎮めることによって、患者さん本来の姿を取り戻させているといえます。これらを通して、人間はたとえ認知症を患っても「人間らしくありたい」という強い願いがあり、人間として尊重されることが脳に大きな働きをもたらすことがわかります。「ユマニチュード」は、私たちがテーマとする「生涯、人間らしさを保ち幸せであり続ける」ということを、重度の認知症の方々に体現するものといえるでしょう。
2016年
4月
29日
金
認知症の脳に働きかけるユマニチュード
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。いま、「まるで、魔法のようだ」と、その効果が話題になっている認知症ケアの手法があります。体育学を専攻したフランスのイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレイコッティ氏によって開発された「ユマニチュード」です。認知力が低下して語りかけても反応がない、自分がいる場所も理解できない、また立つこともできないで寝たきり状態の認知症患者の方々が、この手法でケアを受けると、話し、笑い、そして自分の力で立ちあがり、歩くことができるようになるというものです。この「ユマニチュード」は、「見る」「話しかける」「触れる」「立つ」の4つを柱とし、150の具体的な手法からつくられています。「さまざまな機能が低下して誰かに頼らなければならない状況になったとしても、最後の日まで尊厳をもって暮らし、その生涯を通じて”人間らしい”存在であり続ける」-そのためにケアを行う人々が、ケアの対象の方に「あなたのことを、わたしは大切に思っています」というメッセージを発信する、つまり”人間としての尊厳”をどこまでも大切にし続けるというケア手法です。見つめるときは、患者さんの中に「支配されている」という感情が起きないよう、見下ろすことは絶対にせず、必ず正面から目の高さをあわせて対等であることを印象づけます。体を拭くなどのケアをする時は、「タオルを温かくしてきましたよ」「左手をあげますね」「大きく動きましたね」「次は足を動かしますね」と実況中継をするように、優しく話しかけながら進めます。触れるときも決して手首や腕をつかむのではなく、下からそっと支えます。これらによって患者さんの中に、自分の存在が否定されているという感情や怖いという感情が生まれず、「自分は受け入れられている」という感情が生まれ安心できるのです。そして、体を拭いたり、歯磨きなどは、できるだけ立って行うようにし、筋力を高めることに力を入れています。このように、人間としての尊厳が全てのケアに込められています。
2016年
4月
28日
木
睡眠が認知症の原因物質を洗い流す
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。認知症のなかでも最も多い「アルツハイマー型認知症」の原因物質「アミロイドベータ」に関して、2013年アメリカのロチェスター大学のマイケン・ネーデルガード博士たちが驚くべき研究結果を発表しました。脳内に蓄積するアミロイドベータなどの有害物質が、睡眠によって洗い流される可能性があることがわかったのです。これが事実であるなら「認知症」を引き起こすアミロイドベータを「眠る」という作業でどんどん排出することができることになります。脳細胞と脳細胞の間には脳脊髄液という液体が流れていて、脳の老廃物を排出しています。その脳細胞間の隙間が、眠っているときは通常の60%も多く広がり、髄液がより速いスピードで流れて、排出される老廃物の量も増えることがわかったのです。そしてこの老廃物の中に、認知症の発症につながるアミロイドベータが含まれていたのです。また、ワシントン大学でも、睡眠効率とアミロイドベータの関係を調査した結果、よく眠れている人はアミロイドベータを蓄積している人が少なく、一方、睡眠状態の悪い人はアミロイドベータを蓄積している人が多いことがわかりました。睡眠が認知症の発症をどれくらい抑えられるか、これはこれからの研究課題です。しかし質の良い睡眠をとることが認知症を予防する、つまり「脳には驚くべき自浄作用がある」ことに、いま世界が注目し始めているのです。
2016年
4月
26日
火
認知症には主に3タイプある
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「認知症」にはいくつかのタイプがあり、大きく3つにわかれます。「脳血管性」「レビー小体型」「アルツハイマー型」が三大認知症です。「脳血管性認知症」は脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳の病気にともなう、脳の血管の障害によって引き起こされる認知症です。障害の起きた血管の場所によって「認知症」の症状も異なります。「レビー小体型認知症」はレビー小体という異常なタンパク質の集まりが、神経細胞の中にたまることによって起こります。レビー小体は、パーキンソン病を引き起こす物質でもあります。もの忘れなどの記憶障害ではなく、幻覚を見たり、うつ状態になったり、パーキンソン病のような手のふるえなどが見られるのが特徴です。そして、最も多いのが「アルツハイマー型認知症」です。「アルツハイマー病」によって引き起こされるもので、認知症全体の50%を占めます。「アミロイドベータたんぱく」や「タウたんぱく」という異常なタンパク質が脳に蓄積し、脳の神経細胞にダメージを与えることによって起こります。
2016年
4月
25日
月
認知症は脳の老化とは違う
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「生涯人間らしく」あるためには、記憶が失われていく「認知症」の正体について知っておく必要があります。日常生活でこんなこと、ありませんか。部屋に入った瞬間「あれっ?何しに来たんだっけ?」「昨日の夜食べたのは、えーと」「この俳優さんの名前、えっと、あの・・」「あれ、どこにしまったっけ?」など。思わず苦笑いをされた方もいらっしゃることでしょう。でも大丈夫です。これは加齢によって自然に起こる「もの忘れ」といわれる現象です。医学的には「良性健忘」といいます。加齢によって起こる現象は、脳のMRI画像でも見ることができます。脳の健康度というのは、具体的にいうと脳の萎縮度で測ることができます。脳は、年齢にともない少しずつ萎縮をしていき、ある程度加齢を重ねると、血液が通わなくなる虚血性の変化として、シミのようなものが脳にみられるようになります。このシミの量や萎縮の度合いで脳の加齢度を測ることができます。では「認知症」というのは、どのようなことをいうのでしょうか。「認知症」は、記憶の働きや思考力・判断力などをはじめとする認知機能が低下して、日常の生活に支障をきたす症状のことをいいます。加齢によって起こる自然な老化現象の延長にあるもではなく、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など脳の血管に起こる病気や、アルツハイマー病などの病気によって引き起こされる症状なのです。ですから「認知症」は歳をとれば仕方ないと思うものではなく、病気の症状として受け止めることが大切です。
2016年
4月
23日
土
「海馬」が記憶をコントロールする
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。「前頭葉」以外にも人間らしさをつかさどる大切な領域があります。それは「海馬」です。「海馬」は「記憶全体をコントロールする」という大切な働きを持っています。側頭葉の奥深いところにあり、タツノオトシゴ(英語でSea「海」horse「馬」)のような形をしていることから海馬と名付けられました。よく「記憶力が良い」とか「記憶力が悪い」とか一言で「記憶力」を片付けることが多いのですが、実は人間の記憶はそんな単純なものではありません。人間の記憶のメカニズムは大変におもしろく、いくつかの記憶をつかさどる領域が複合的に関係しあって、その機能を果たしているのです。10秒から20秒くらいの記憶を「短期記憶」といいます。例えば調べた電話番号を瞬時に記憶して、電話をかけるときがあります。ですが、少し時間がたった後に、この番号を思い出そうと思ってもなかなか出てきません。このように、持続性がなく、時間の経過とともに失われてしまう記憶が、この「短期記憶」です。これに対し、長い間保存されている記憶を「長期記憶」といいます。この「長期記憶」のうち、家族や友人の名前や誕生日、言葉の意味や一般の雑学の知識などの記憶を「意味記憶」といいます。また自分の日常に起こったことで、先週の土曜日に誰とどこに行ったとか、昨日の夜何を食べたとか、また幼い頃の思い出の記憶などを「エピソード記憶」といいます。そしてもうひとつ、スポーツやダンス、楽器演奏などのように体で覚える記憶は、「手続き記憶」とよばれています。これら数種の記憶の働きと深く関わりを持っているのが、「海馬」なのです。海馬は、「短期記憶」を受け取り、保存の必要性を判断したり整理整頓したりして、「長期記憶」を担うそれぞれの領域に移動、保存させる働きがあります。パソコンに例えると、情報を得た後、必要のないと思ったものは消去し、とっておいた方がよいと思ったものは項目ごとにファイルにまとめ、ハードディスクに保存するといった感じです。海馬が働いているときは電気の波が生じ、感情をともなう場合はその波が大きくなることがわかっています。昔の記憶で楽しかった思い出などが、他の記憶より強く残っているのは、海馬がより大切なものとして「長期記憶」にしっかり残しているからです。まさに海馬が記憶の重要性を判断し、整理しているのです。そして、長期記憶として保存されている情報が必要になった時、それを引き出す、つまり「思い出す」という働きを担当しているのも、海馬なのです。このように海馬は、記憶全体をつかさどる「記憶の司令塔」として、きわめて重要な役割を果たしていると考えられています。
2016年
4月
22日
金
脳の中に高速道路をつくる
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳のつくられ方には、もうひとつ興味深い点があります。脳の回路を一般の道路に見立ててみましょう。脳は、生まれてからすぐに一般道路をバーッとたくさんつくります。そして、あるところまでくると、たくさんつくった一般道路のうちよく使う道路を、強固で機能性にすぐれた高速道路にしていきます。反対に、あまり使わない一般道路はどんどん壊していくのです。まず、膨大な数の神経細胞が、それぞれ正確な位置に配置されます。道路は、その一つひとつの神経細胞と神経細胞がつながっていくことによってできます。それぞれの神経細胞は、伝達情報を他の細胞に送る枝と、他の細胞から受け取る枝の二つを持っています。それはあたかも、コンセントとプラグがそれぞれ先についた枝を持つかのようです。伝達情報を送る枝は1本で長く、受け取る枝は複数かつ複雑に分かれています。そして、それぞれがふさわしい細胞にその枝を伸ばして、接続コードをつなげていくかのように、どんどん結合し回路ができます。それら回路がある程度完成したら、よく使用する部分はより情報を早く伝達できるような高速道路に変えて、逆にあまり使わない部分は枝を切り離していくのです。このように、たくさんつくった一般道路を高速道路に変えたり、使わない道路を壊したりすることが、使用頻度によって決められるのだとすると、まさに私たち自身が脳をどのように使うのがよいか、その重要性が見えてきます。
2016年
4月
21日
木
「前頭葉」は最後にできて、最初に壊れる
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳はいったいどのようにつくられるのでしょうか。人間の体は全体にバランスよく少しずつ発達しますが、脳はそれとは異なり、実に独特なスタイルでつくられていきます。脳は主に、後ろから前に向かって発達するのです。脳の発達には脳の血流量が大きく関係するのですが、子供の年齢と脳の血流量を解析した研究データからも、はっきりとこの事実が証明されています。最初に発達するのは頭の後ろの「後頭葉」です。主に「ものを見る」働きを持っています。「後頭葉」は生まれて数ヶ月から1,2年で発達し、年をとっても最後の最後まで保たれます。同じように早く発達するのが「音を聞く」などの働きのある「側頭葉」です。つまり原始の時代、人間も動物として敵を「視る」、敵の「音を聞く」ことができなければ生き抜いて来られなかったのです。そのため、生きるために必要な部分から脳は発達したと考えられます。さらに、「側頭葉」には「記憶や言語理解」に関わる領域も見られ、これらは「音を聞く」働きがある領域の後に発達していきます。これら動物として生きるために必要な「後頭葉」「側頭葉」が発達した後、最後にようやく完成するのが、人間として生きるために必要な「前頭葉」です。興味深いことに「前頭葉」の中でもまた、役割ごとにつくられる順番が異なります。「前頭葉」の中でも、どちらかというと低次な運動機能などを担う部分は早く発達し、判断したり考えたりコミュニケーションをしたりする、まさに人間らしさともいえる「前頭前野」は最も遅く、12歳前後の思春期を過ぎたころにようやく完成するのです。ところが脳というのはとても不条理で、やっと出来上がったと思ったら、すぐに加齢による萎縮が始まってしまいます。しかも最後にできた「前頭葉」の「前頭前野」から萎縮が始まってしまうのです。まるで、脳の萎縮のプロセスは、脳の完成映像を逆回転して見るかのようです。このことから、「前頭葉」が加齢に最も弱いということができます。人間としての高い能力から壊れていき、動物として生存するために必要な能力が最後の最後まで残るのが人間の脳なのです。
2016年
4月
19日
火
人間らしさは「前頭葉」にある
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。脳の仕事のこなし方は、会社にそっくりです。会社のさまざまな部や課にはそれぞれ異なった役割があります。単独で責任をもって仕事をしていますが、内容によって他の部署と連携したり、他の部署にトラブルが起きたら違う部署がサポートしたりします。脳も同じように、それぞれの領域で与えられた役割を担い、他の領域と神経細胞をつなぎあいながら、協調したり助け合ったりして日々仕事をこなしているのです。仕事をこなせばこなすほど、鍛えれば鍛えるほど、能力が上がっていくところも会社と似ています。そして、どのような会社にも経営をつかさどる中枢機関があります。会社経営で最も重要な部署です。それと同じ働きをする部署が脳にもあるのです。それは、最も大きな部の「大脳」の中にある「前頭葉」です。この「前頭葉」は、言葉を話す・コミュニケーションをとる・思考する・意思決定する・意識や注意を集中する・注意を分散する・行動を制御する・情動の制御をする・新しいものを創造する・記憶のコントロールをするなど、人間として最も高度な働きをしています。この働きは、「前頭葉」の最も前にある「前頭前野」に集中していて、その大きさは灰白質全体の30%を占めます。これほど大きな領域を持っている生物は、人間以外に存在しません。生物学的にみた時に、「大きく発達した前頭前野を持つ動物と言うことができる」といわれています。つまり、「人間らしさ」「人間の心」はまさに「前頭葉」にあり、これこそが「認知力」そのものといえるでしょう。つまり「人が死ぬまで人間らしさを失わず幸せであり続ける」ためのカギは、この「前頭葉」とくに「前頭前野」にあるのです。
2016年
4月
18日
月
女性の脳は男性の脳より加齢に強い
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。男性の脳と女性の脳、どちらの脳が加齢に強いと思いますか?両者を比べた場合、男性としては残念ですが、これは女性に軍配が上がります。女性の方が男性より、脳の加齢に強いのです。そのカギを握っているのが、女性が持っている女性ホルモンのエストロゲンです。このエストロゲンは「女性の体を守るホルモン」で、閉経までの長い期間分泌され続けます。そして女性としての体をつくるだけでなく、骨や血管を丈夫にし、コレステロールのバランスをとるなど多くの働きをしています。このエストロゲンが脳を守ることにも関係していることから、女性は男性より脳の加齢に強いと考えられるのです。年齢別に男女それぞれの脳画像から体積を調べてみると、男性の脳は20歳くらいから一定のスピードで体積が減っていきますが、女性の方は50歳頃までは体積の減少がゆるやかであることが、わかっています。女性は50歳を過ぎた頃になって初めて、男性と同じようなスピードで減少しはじめるのです。つまり女性は、女性ホルモンのエストロゲンが脳に対して保護的な働きをして、かなりの年齢まで体積が保たれるわけです。しかし、エストロゲンの分泌の少ない男性は、若い段階から脳の体積の減り方がけっこう早いというわけです。
2016年
4月
17日
日
トレーニングのQ&A
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。
Q トレーニングに挑戦したら筋肉痛になってしまい、いまも動かすと少し痛みます。この状態でトレーニングをしても大丈夫でしょうか?
A まずは筋肉痛について説明しましょう。運動をした翌日、もしくは2日後に感じる一般的な筋肉痛は「遅発性筋肉痛」というもので、これは二つの種類に分けられます。一つは筋肉の中についた小さな傷が原因で、そこに痛みをともなう炎症反応が起きるものです。もう一つは傷ではなく、筋肉を激しく動かすことによって痛みを感じる神経の感受性が上がることが原因のもので、普段であれば痛みを感じないような動きでも、痛みを感じるようになるのです。前者は重い筋肉痛、後者は軽い筋肉痛といえば分かりやすいでしょうか。軽い筋肉痛の場合は、運動をしても問題はありません。むしろ適度に運動をしたほうが痛みを感じなくなることがあるほどです。もちろん個人差はあり、運動をあまりしていない人は、前者の重い筋肉痛になることもあります。痛くて体を動かせないようであればトレーニングを控えてください。
2016年
4月
16日
土
トレーニングのQ&A
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。
Q 日常生活でできるトレーニングはありますか?
A 簡単なことでいえば、できるだけ座らないで立つように心がけることもトレーニングになります。普段あまり意識はしていないかもしれませんが、重力に逆らって立つということも、1つの運動です。電車に乗っているとき、デパートで買い物をしている家族を待っているとき・・・など。すぐにシートやベンチを探して、座ろうとしていませんか。座るということは、立つというトレーニングの機会を逃していることでもあるのです。健康に役立つ立ち方のポイントは、背すじが自然なS字カーブを描くように、できるだけまっすぐ立つように意識することです。左や右に重心を傾けるのは悪いことではありませんが、「右足に重心をかけたら、次は左足」と偏りをなくすことを心がけてください。
2016年
4月
15日
金
トレーニングのQ&A
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。
Q ヒザが痛むのですが、トレーニングをしてもよいのでしょうか?
A 痛みは「動かしてはいけない」という体からの信号です。体のいうことにしたがって、「痛いことはしない」のが基本と考えましょう。注意しなければならないのは、私たち人間の体は、繰り返し痛みを感じていると、その痛みを感じる感覚を抑える反応が働くことです。つまり、脳が痛みを感じなくしてしまうのです。「最初は痛いと思っても、運動を続けていくうちに痛みを感じなくなる」のはよくあるケースですが、その結果、状態がさらに悪化することにもつながるので要注意です。その一方で、痛みがあるからといってただ安静にしているだけでは、根本的な解決にはなりません。その痛みは筋力の低下が影響していることもあるからです。よほどひどい痛みでなければ、トレーニングをしながら「どうすると痛いのか」、「どこまでなら痛くないのか」と、「痛くない動きを探すこと」が大切です。例えば「スクワット」でも、深くしゃがむと痛いけれど、浅ければ大丈夫とか、四股のように足を広げて行うと痛みがないというケースもあります。そうやって、痛みのないフォームでトレーニングをしていると、関節が筋肉によって安定し段々と痛みが解消されていくことも少なくありません。もちろん、どんな動きをしても痛いという場合は、トレーニングは行わず、まず治療です。
2016年
4月
14日
木
トレーニングのQ&A
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。
Q 忙しくて、トレーニングに十分な時間をとれません。何か1つ取り組むとしたら、なにがよいでしょうか?
A 中高年の方に鍛えてほしいのは、やはり衰えが出やすい足腰です。そのなかでも1つの部位に絞るとしたら、それは、太ももの筋肉です。主な理由は、「①大腿四頭筋は加齢の影響を強く受ける」、「②全身をよく動かすうえで、太ももの後ろ側のハムストリングスの柔軟性が大事」という2つです。トレーニングを行うなら、スクワットがよいでしょう。大腿四頭筋と、それと対をなすハムストリングスも同時に鍛えることができます。ハムストリングスの柔軟性を保つためには、太ももの裏側を伸ばすストレッチが有効です。
2016年
4月
12日
火
個人差が大きくなる60歳代以降
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。体力や健康の状態は、60歳を過ぎた頃から個人差が大きくなっていきます。「背すじはピンとしているし、ハツラツとしていて、とても60歳代には見えない」という方がいれば、反対に「覇気がなくて、少しの距離を歩いて移動するのもツラそう」という方もいます。これだけの差が生じてしまう要因の1つは、「若い頃からしっかりと筋肉を使ってきたかどうか」です。あまり体を動かさない生活を続けていると、衰えが顕著に現れてしまいます。とはいえ、「若い頃に運動をしてこなかったせいか、最近はすぐに疲れてしまうし、腰痛もひどくなってきた・・・」などという方もあきらめてはいけません。何歳からでもトレーニングをすると筋肉は太くなります。筋力強化を始めるのに、遅すぎるということはありません。むしろ、60歳代は仕事のリタイアなどで時間の制約が少なくなるので、積極的にトレーニングを行うことができる年代といえるかもしれません。個人差が大きいこの年代は、とくに、自分の健康状態や筋力に応じたトレーニングを行うことが重要です。とりたてて不調がない場合の目標は、「安定した日常動作に結びつける強い体幹」や「何歳になっても自分の足で移動できる丈夫な足腰」をつくることです。それは、自由な時間を利用しての旅行や趣味の散歩を楽しむためにも役立ちます。また、60歳代は姿勢についても気を配る必要があります。一般的に、人間の姿勢は加齢とともに変化するものです。何もしなければ、徐々に骨盤が後傾して背中が丸くなり、足がO脚になっていきます。「丸い背中」は、見た目にあまり格好よいものではなく、健康面でも「腰痛の原因になる」、「内蔵を圧迫する」など、プラス面はほとんどありません。さらに、背骨の湾曲と転倒の経験性の間に関連があるとする研究報告もあります。トレーニングに励んでいる方は皆さん若々しく、とても60歳代、70歳代には見えません。活発で楽しい毎日を過ごすためにも、ぜひトレーニングやストレッチに取り組んでみてはいかがでしょうか。
2016年
4月
11日
月
骨の衰えが現れる50歳代
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。40歳代が「太り過ぎ」が気になるのに対して、50歳代は体重の減少を意識したい年代です。50歳を過ぎたあたりから筋肉の減少がより顕在化してくる傾向にあり、それが原因で体重が減ることが少なくありません。また、五十肩など、関節の不調を感じることも多くなります。50歳代は「衰えを実感したときに何をするべきか」を考える年代ともいえるでしょう。「体重が減ったらトレーニングで筋肉を増やしてもとの体重に戻す」、「肩が痛くなったら肩を対象としたストレッチでケアする」など体の状態に応じた対応が必要です。とはいえ、50歳代は体力面で無理がきかなくなってくるのも事実です。いかに、「強すぎる負担を与えることなく、筋肉や骨を維持するか」が重要で、そのために若い頃とは違った視点で新たな運動を取り入れる発想も役立ちます。「ヨガ」や「ピラティス」、「太極拳」など、効果がある運動は数多くあります。また、50歳代は、体の健康面での男女差が大きくなる年代でもあります。女性は閉経を迎えた直後の時期で、それを境に骨が急速に弱くなっていきます。骨粗しょう症になってしまう方も少なくありません。骨が弱くなることは変形性関節症などの関節の不調につながり、場合によっては姿勢が大きく崩れてしまうこともあります。とくにこの年代の女性は、運動を行う際には、骨の衰えを考慮しましょう。一方、男性は骨の心配はいらないかといえば、そうはいきません。女性ほど顕著ではないものの、男性も骨が弱くなっていきます。国内の骨粗しょう症の患者数を見てみると、女性が980万人に対して男性が300万人(骨粗しょう症の予防と治療ガイドライン2011年版)。確かに女性よりは少ないものの、甘く見ることはできない数字です。気になる方は、一度、自分の骨密度を測ってみてはいかがでしょうか。骨密度は病院や地域の保健所などで測定することができます。骨が弱くなっている方は、急に体に大きな負担がかかるトレーニングを行うと、骨折する危険もあります。しかし、それを恐れて何もしないのも考えものです。無理のない範囲で骨に適度な負荷をかけることは、骨を強くする効果があります。
2016年
4月
09日
土
メタボが気になる40歳代
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。30歳を越えたあたりから筋肉は減少していきます。とはいえ、まだ多くの筋肉が残っているため、40歳代の筋肉の減少は割合としては穏やかです。「以前よりも少し疲れやすくはなったけれど、まだまだ体力には自信がある」という方も多いに違いありません。でも、体型についてはいかがでしょうか。「メタボ」は健康寿命を短くする1つの大きな原因です。「太り過ぎ」はとくに30~40歳代の方によく見られる問題です。メタボ対策として有効なのが、筋肉を鍛えて基礎代謝を上げることです。「お腹まわりの体脂肪が気になる」という方は、まず、糖質(炭水化物)と脂質の摂取量をバランスよく減らすように食事に気をつけるとともに、トレーニングにも積極的に取り組んでほしいものです。40歳代はまだまだ体を動かせる年代で、トレーニングをすると、効果がはっきり現れます。「学生時代は運動をしていたけれど最近は体を動かしていない」という方は、20歳代の自分を取り戻すのも決して無理なことではありませんし、運動経験のない方は、どんどん筋肉が強くなる(太くなる)ポテンシャルを秘めています。たとえ40歳代でもしっかりとトレーニングや体のメンテナンスをすれば、体力面でも若い選手と互角に渡り合えるということは、プロ野球などのスポーツの世界でも実証されています。この年代は、ゴルフやテニスなど、趣味としてのスポーツを楽しんでいる方も多いでしょう。どんな運動でも、体を動かすことは健康面でプラスに働くので、「しばらく運動をしていない」という方は昔やっていたスポーツを少しずつ再開してみてはどうでしょうか。ちなみに「競技力を上達させたい」という場合は、下半身だけでなく、体幹のメンテナンスも行いましょう。体幹を強く、柔軟に使うことができれば、パフォーマンスはアップします。また、将来の健康に備えて、ベースづくりをしておきたいのも、この年代です。変形性関節症などの関節の疾患は、一度患うと、簡単にはもとの状態に戻せません。十分に体を動かせるときに筋肉を鍛えて、関節をサポートする能力を高めておきましょう。
2016年
4月
08日
金
2つの運動を組み合わせる
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。運動には大きくわけて「有酸素運動」と「無酸素運動」という2つがあります。有酸素運動とは、比較的長い時間にわたり、弱い筋力を発揮するような運動で、運動中にエネルギーを生産するときに酸素を使います。一方、無酸素運動とは、瞬間的に強い筋力を発揮する運動で、運動中にはエネルギー生産のための酸素は必要としません(やや遅れて酸素が必要となるので、「無酸素」という言い方は誤解をまねきやすい)。筋肉を太くすることに役立つのは無酸素運動で、筋力トレーニングは無酸素運動に分類されます。それに対して、ゆっくりと時間をかけて行うジョギングや水泳は有酸素運動で「心肺機能を高めて、血液循環を改善する」などの効果があります。そのうえ、体脂肪をエネルギーとして使用するので、気になる体脂肪を運動中に燃焼させることができます。ただし、体脂肪を燃焼させるような運動はある程度の時間が必要であり(一般的には運動を始めてから20分程度経過した時点から体脂肪の燃焼が始まるとされている)、また、長時間行わないとエネルギー消費そのものが多くならないので、過信は禁物です。メタボが気になる方は、この無酸素運動と有酸素運動を組み合わせると、シェイプアップの効率が高まります。順番は、無酸素運動を行なったあとに、ジョギングや水泳などの有酸素運動を行うこと。無酸素運動を行うと体内が代謝の高い状態になり、そこで有酸素運動を追加すると、より効率的に体脂肪を分解することができるからです。なお、サイクリングも、ゆっくりとこぐぶんには有酸素運動に分類されます。「近くのスーパーまで買い物に行く」などの日常的な運動のエネルギーの消費量を考えた場合、ウォ―キングとサイクリングで、どちらがよいかといえば、ウォ―キングに軍配があがります。同じ距離であればウォ―キングのほうが消費エネルギーは大きいからです。ただし、同じ時間で比較すると、距離が長くなるぶん、サイクリングのほうが消費エネルギーは大きくなります。ウォ―キングを含め、まずは自分の好みに合った運動を取り入れてみましょう。
2016年
4月
07日
木
体幹も柔軟性をつける
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。体幹とは手足を除いた胴体を指します。近年、「体幹トレーニング」が流行しているので、この言葉をご存知の方も多いかもしれません。体幹トレーニングは、体の軸をしっかりと鍛えることで、体の安定性を高め、スポーツなどでパフォーマンスが向上する効果が期待されます。ただ、「安定性」を求めるがゆえ、「柔軟性」がやや軽視されている感も否めません。体を伸ばしたり、曲げたり、ひねったりと、スポーツに限らず、日常生活において体幹はさまざまな動きが必要になります。体幹に柔軟性がなければ、そうした動きをスムーズに行うことはできません。もちろん、姿勢の維持という意味でも、体幹を安定させることは大切です。状況に応じて硬くなり、柔らかくなる。強さと柔軟性の両方が求められるわけです。体幹の柔軟性を養うポイントはずばり、体幹をよく動かすことです。「上半身を動かすストレッチはよくやっているから大丈夫」という方も要注意です。じつは、体幹のストレッチは簡単ではなく、自分では動かしているつもりでも、実際はあまり動かしていないということが少なくありません。その理由は、体幹の関節の動きが自分ではわかりにくいためです。例えば、よく見かけるが、体幹のストレッチとして上体をひねるときに一緒に骨盤も回ってしまうパターンです。体幹の動きは、骨盤から上の部分の動きなので、体幹を対象としたストレッチでは、骨盤を一緒に動かしてしまうと意図した関節や筋肉が動かせない場合があります。また、体の中央に位置する「みぞおち」を中心に動作することも、体幹のストレッチを行う際のポイントの一つです。体幹(背骨)は32~34の椎骨が連結していて、体幹が伸びた姿勢は脊柱起立筋や腹直筋、腹斜筋などによって支えられています。椎骨のつなぎめはすべて関節で、一つひとつの動きは小さくても、それだけの数が連携して動くと大きな動作ができるようになります。このように多くの部位が連動する関節はほかにはありません。そのイメージをもって取り組むことも、しっかりと体幹をストレッチするためには重要です。ストレッチで柔軟性に富んだ体幹をつくることは、腰痛や疲労感の解消、姿勢の改善、さらにはお腹まわりのシェイプアップにも役立つと思います。
2016年
4月
05日
火
ウォ―キングの工夫
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。ウォ―キングは一生動ける体を作るための強い味方です。近年の研究では、認知症の予防に役立つことも確認されています。ウォ―キングはヒザなどへの負担も小さいため、中高年や体力のない方も取り組みやすい良質な運動といえます。ただし、運動強度としては少し低すぎるという面もあります。例えば、1時間の軽いウォ―キングで消費するエネルギー量は約150kcalで、これはおにぎり1個分程度にしかすぎません。また、筋肉を太くする働きも弱く、毎日15分歩いたとしても、加齢とともに筋肉や関節の機能が低下することによって、やがては、それだけの時間を歩けなくなってしまうということもあります。そこで、歩き方をひと工夫してみましょう。普段よりも大股にして少しペースを速めるだけでも、運動強度はグッと上がります。基本的にウォ―キングによる運動強度やエネルギーの消費量は、歩く速度に比例します。長い時間、速いペースで歩くのがキツければ、「ゆっくりと歩く」と「速く歩く」を交互に繰り返すとよいでしょう。これは、「インターバルウォ―キング」といって、高齢者を対象とした研究で、「インターバルウォ―キングには筋力を高める効果がある」ことが報告されています。また、「散歩が趣味」というっ方は、坂道や階段があるコースを選ぶのもよいアイデアです。このように、ウォ―キングは、ちょっとした努力で、より有効な運動にすることができます。ただ、もともと「歩く」という行為は日常的なものです。難しく考えずに何よりも「体にとってよいことをしている」というポジティブな感覚をもって取り組むことが大切です。
2016年
4月
04日
月
ストレッチのやり方
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。ストレッチには、大きくわけて「ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)」と「スタティックストレッチ(静的ストレッチ)」の2種類があります。ダイナミックストレッチは動きをともなうもので、ポピュラーなヒザの「屈伸運動」や「腕振り運動」はダイナミックストレッチです。「ラジオ体操」もダイナミックストレッチの一種と考えてよいでしょう。スポーツではウォームアップとしてよく行われます。一方、スタティックストレッチは対象となる部位を伸ばした状態で20~30秒ほど静止するもので、スポーツではよくクールダウンとして用いられます。柔軟性をつけるためにおすすめするのは、スタティックストレッチです。スタティックストレッチは静止して行うため、柔軟性に自信がない中高年の方でも、じっくりと取り組むことができるからです。実施する際には、対象の部位を意識して、しっかりと伸ばすことが大切です。ストレッチを行うと、少しでも深く関節を曲げようとして、ついつい目的以外の関節まで動かしてしまいがちです。「ワキ腹を伸ばすときは上半身だけを動かして腰は動かさない」というように、伸ばす動きのもととなる部位は固定するように心がけましょう。また、息はとめずに、ゆっくりと深く呼吸し、リラックスして筋肉を脱力させることも大切です。対象の筋肉が伸ばされていることを感じなければ効果は期待できませんが、過度な反動をつけて行うことはNGです。もう1つ、筋力にも同じことが言えますが、体の均衡を保つために前後、左右のバランスも意識しましょう。「お腹の次は背中」、「右のワキ腹の次は左のワキ腹」と、前後左右を均等にストレッチすることが必要です。
2016年
4月
03日
日
そもそもストレッチとは
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。ストレッチとは、関節をできる範囲で曲げたり伸ばしたりして、筋肉を伸ばすことです。関節の可動域を広げるほか、「血液循環がよくなってコリや冷え性などの不調が緩和される」、「筋肉を伸ばすことそのものが気持ちよく、心身ともにリラックスできる」など、いろいろなメリットがあります。では、そもそも、なぜストレッチをすると体が柔らかく(関節の可動域が広く)なるのでしょうか。とくにストレッチが筋肉に与える影響について見てみましょう。筋肉の柔軟性は「①筋肉の伸びやすさ」と「②筋肉の脱力の程度」という2つの要因によって決まります。まず、1つめの「①筋肉の伸びやすさ」は、筋肉を多層にわたって覆う筋膜などの結合組織の硬さ(伸びにくさ)によって決まります。その硬さが長期間のストレッチによって低下する(伸びやすくなる)ことがさまざまな研究で確認されています。2つめの「②筋肉の脱力の程度」は、「伸張反射」という筋肉が持つ性質が関係しています。伸張反射は、筋肉を伸ばそうとすると、姿勢の維持や筋肉の保護のために「そうはさせまい」というように、反射によって収縮が起こることです。それが過敏になると柔軟性が阻害されてしまうのです。ストレッチは、筋肉の長さを感知する機能を低下させる効果があるので、この伸張反射が起こりにくくなります。伸張反射が起こらなければ、筋肉は脱力しやすくなり、関節可動域が広がるというわけです。2つめの伸張反射の変化はストレッチ直後に起こるため、効果はすぐに現れます。さらに、ストレッチを習慣化すると、筋肉の性質自体が変わり、柔軟な体へと変化していきます。
2016年
4月
02日
土
年をとっても体は柔らかくなる
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。一般的に加齢とともに体は硬くなります。より正確にいうと、「関節可動域が狭くなります。」試しに皆さんも、立って前屈をしてみてください。「学生時代は指先が床についたのに、今はまったく届かない」という方も多いのではないでしょうか。これまでは、「筋力を高めること」の重要性を話してきましたが、一生動ける体をつくるためには柔軟性を確保することも大切です。なぜなら、体が硬くなると全身の動きが制限されて、日常生活の動作をスムーズに行うことが難しくなるからです。例えば、股関節が硬くなると、「足をあまりあげずに歩くようになるため、ちょっとした段差でも転ぶ」というように、硬い体はケガにつながることもあります。また、どこかの部位が硬くなることは、姿勢の悪化を引き起こす要因もあります。そもそも、柔軟性は「関節がどのくらいの範囲で動くか」という関節可動域の幅によって決まります。つまり、体が硬い方は関節が動く範囲が狭いということです。その可動域を決める要因には「①関節の構造」、「②関節を取り巻く組織の性質」、「③筋肉の柔軟性」という3つがあります。「①関節の構造」は、骨の形が関係します。例えば、変形性関節症のように関節の骨の形が変わってしまうと、関節の動きが制限されてしまうことがあります。「②関節を取り巻く組織の性質」につては、関節包や靭帯といった組織が関係し、それらが硬くなると、関節の可動域が減少します。「③筋肉の柔軟性」は、筋肉が引き伸ばされるときに生じる抵抗力によって、関節可動域が制限されることです。もともと体が硬い方、もしくは体が硬くなってしまった方でも、継続してストレッチを行うことで、徐々に体は柔らかくなっていきます。そして、筋力同様に年をとってからでも柔軟性を高めることは十分可能なのです。大切なのは、努力して筋肉をつけても、関節の可動域が狭く、本来の働きをしてくれなければ意味がありません。トレーニングとストレッチを「セット」で考えましょう。
2016年
4月
01日
金
疲れにくい筋肉をつくることはできる
お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。人間はどのような運動でも、続けることによって疲れていきます。例として、フライパンを振る動きで考えてみましょう。数回であれば疲れを感じることはほとんどないでしょうが、それが300回、400回となると話は違います。やがては、「もうダメだ」という状態になり、フライパンを持つこともできなくなります。その「もうダメだ」という状態に至るまでに現れる最初の疲れは、脳などの中枢神経の疲れです。体としては「まだ大丈夫」という状態であっても、「これ以上続けると体がまいってしまうから、やめたほうがよい」という信号が脳で発生するわけです。これは決して「根性がない」とか、「怠ける」ということではなく、人間が生まれついて持っている防御機能です。さらに、それでも無理をして同じ運動を続けていると、今度は神経と筋肉のつなぎめで信号がうまく伝わらなくなる末梢性の疲れ(脳以外の体の疲れ)が生じ、最後に「筋肉そのもののエネルギーが足りなくなる」という、「疲労困憊」に至ります。「最近疲れやすくなった」という場合の疲れは、まず、中枢神経系の疲れが疑われます。「疲れた」と感じていても、「ここで、ひと頑張りしなければならない」というときには、きちんと筋力を発揮できることでしょう。加齢とともに筋力が低下してくると、以前と同じ運動でも相対的に筋肉にかかる負荷が大きくなるので、最初の中枢神経系の疲労もより早く現れると考えられます。以前は「まだ大丈夫」と脳で判断できる状況であったものが、筋肉の衰えによって辛いものとなり、早い段階で無意識のうちにブレーキがかかるようになるわけです。これは息が上がるような激しい運動だけではなく、日常生活の運動にもあてはまります。ずっと立っていることや歩くことでも、筋肉の衰えによって、中枢神経系の疲れにつながりやすくなってしまうのです。人によって普段の生活でよく使う筋肉は違うため、疲れにくい体にするための工夫もいろいろなものが考えられます。例えば座って作業をすることが多い方は、脊柱起立筋などの姿勢を保つ筋肉を鍛えることが、「座っているだけでも疲れを感じる」ことの予防に役立ちます。一般的には「ある部位の筋肉の衰えが、どのようにストレスを与えるのか」は、判断が難しいので、一部の筋肉に限定して鍛えるのではなくて、全身をバランスよく鍛えるように心がけるとよいでしょう。