本八幡の整体、風の整体院の岩田です。歳とともに、以前よりも自分の発声時の声がなんだか頼りなく聞こえたり、ハリがなくなったりしていないでしょうか。たとえば、まったく知らない人と初めて電話で声を聞いただけでも、その人が若いかお年寄りかは、だいたい見当がつきますよね(しゃべり方という要素もありますが)。それは、声にも年齢が反映されるからです。声の加齢変化は、声帯と呼吸筋が衰えてくることによるものです。声を出すとき、私たちは無意識のうちに声帯を振動させます。呼吸のときは、声門(声帯のある場所の隙間)を開いているのですが、発声時には声門を閉じて声帯を振動させることで音にしているのです。若いときは、声帯に振動が自然にうまく伝わるのですが、加齢とともに声帯が萎縮し、振動がうまく伝わらずに声量、声のハリともに低下してきます。さらに、声帯を老化させてしまうものに、のどの炎症があります。喫煙などが最たるものですが、刺激の強い食べ物を頻繫に、もしくは大量に食べたり、長時間にわたる大声での会話なども炎症を引き起こします。また、横隔膜を代表とする呼吸筋も、加齢とともに萎縮していくのです。では、声を若々しく保つにはどうすればいいのでしょうか。呼吸筋は有酸素運動をすれば、それがそのままトレーニングになりますが、まずは、ふだんの暮らしの中で、意識的な深呼吸の時間を取り入れてみましょう。1日10回程度でも効果はあります。深呼吸をする際には、横隔膜はもちろんのこと、肋間筋や腹筋といったほかの筋肉も連動していきます。しっかりと、肺の奥の奥まで酸素が行き渡る感じをイメージしながら行うといいでしょう。息を吐く時間のほうを長めにする呼吸法は、心臓にあまり負担をかけたくない高齢者にも適した方法です。その理由は、自律神経の働きから説明できます。運動をすると、誰でも交感神経の働きで心拍数が増えていきますが、このとき吸う時間よりも吐く時間を長くすると、副交感神経の活動も上がってくるので、必要以上の心拍数の上昇を防ぐことができるのです。吸う時間と吐く時間は、おおよそ1対2にするのが目安です。どこの部位であれ、筋肉は使わないと萎縮していきます。だからこそ、高齢になればなるほど、あえて時間をとって「きちんとした呼吸法をしながら、はっきりと言葉をしゃべること」が必要になります。歳をとると家にいる時間が増えて、声を出す機会も減っていきがちです。家族との会話も一種のトレーニングです。一人暮らしの人も、一日の中で深呼吸の時間や、声を出す時間をぜひ作ってみてください。カラオケなども、声帯と呼吸筋を鍛えるいい機会になります。
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