本八幡の整体、風の整体院の岩田です。老化現象のひとつ、サルコペニア(筋肉の減少)。けれども、なぜ歳を重ねると、筋肉量が減っていくのでしょう。医学的には「高齢になると同化抵抗性が出現する」と説明されています。言い換えると、食事から摂るタンパク質(体内ではアミノ酸に変わります)のもとになる物質が体内に入って筋肉組織に届いても、高齢になると筋肉タンパクがつくられにくくなるということになります。ただし、適切なアミノ酸を多めに摂取すれば、高齢者の筋肉細胞でも、骨格筋内でタンパク質の合成を誘導する可能性があることもわかっています。つまり、歳をとって筋肉が減ってきたら原料となるタンパク質はそれほど必要ない、のではなく、歳をとったからこそますますしっかりとタンパク質を摂る必要があるのです。よく、「歳をとっている人ほど肉を食べましょう」と言われるのもこれが理由です。一般的なタンパク質の摂取量の目安は、良質なタンパク質を1食あたり25~30g以上を3回、1日量で最低でも75gは食べることが推奨されています。10年前の国民健康・栄養調査の結果を見ると、69歳までのタンパク質摂取量はちょうど1日あたり75gですが、70歳以上では男性だと72g、女性では62gと、やはり不足気味のようです。その差にしてみると数gから10数gです。10g多く食べるかどうかでそんなに違いがあるのか?と思いがちですが、これは標準偏差といわれるデータによって出された数字ですから、実際には、非常に個人差が大きいことがわかっています。食べる人はよく食べ、食べない人はほとんど食べない。この差が問題なのです。ここでは、高齢者の骨格筋の筋肉細胞に効果的に供給できるアミノ酸について、具体的に行われた一定期間観察・実験する試験の研究をもとにお話しましょう。1つめの研究は、チーズを食べる試験です。高齢者40人を対象として3か月間、高タンパク質食品としてリコッタチーズを毎日210g(1日のタンパク質量で約16g)を補給しましたが、骨格筋量、筋力に有意な増加は見られませんでした。2つめの研究は、サプリメントとして補給する試験です。高齢者65人を対象としてタンパク質15gを含むミルクタンパク質250mlを1日に2回(1日量30g)補給したところ、身体機能は優位に改善したのですが、骨格筋量の増加は認められませんでした。そこで3つめの研究として、アミノ酸をサプリメントで補給する試験を行いました。高齢の男女95人を対象に、11種類のアミノ酸を混合したサプリメント12gを3か月間補給し、歩行能力や筋力を比較しました。すると、対象群と比較してアミノ酸補給群では歩行能力の改善と筋力の増強が認められたのです。これによって、高齢者のアミノ酸の経口投与が、効果があることが示されました。さらに研究をすすめたところ、結論として最も大切なアミノ酸は「ロイシン」だということも判明したのです。
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