唾液の質を上げる

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。唾液がしっかり分泌されるようにすることは大切ですが、できれば「質のよい唾液」を出せればいうことはありません。「唾液にもよい悪いがあるの?」と思う人もいるでしょうが、いろいろな機能をもつ唾液ですから、ちゃんと機能をこなす働き者に越したことはありません。それが、全身の健康につながります。唾液の成分のうち99.5%は水分で、残りの0.5%のうちの2/3がミネラルなどの無機質で、1/3がタンパク質でできています。唾液の質を上げるためには、0.5%の部分のタンパク質、ミネラルをたっぷり摂ることです。たかが0.5%ですが、これらが不足すると、抗菌や免疫をはじめ唾液の機能が悪化してしまうことになります。では、唾液の質が上がって、きちんと機能するようになると、どんなふうに働いてくれるのでしょうか。たとえば、唾液の粘液成分のムチン。このネバネバしたタンパク質が、粘膜を守る物理的バリアの役割を果たすとともに、嚥下をしやすくしています。また、細菌を取り除く作用を持つ抗菌物資も、すべてタンパク質でできています。その原料である血液中のタンパク質(主にアルブミン)が減少すると、唾液の量が減る恐れがあるのはもちろん、唾液の抗菌力が低下する恐れもあります。代表的な抗菌物質は次のようなものです。

●リゾチーム…細菌をの細胞壁を加水分解して、細菌を除去

●ラクトフェリン…鉄結合性の糖タンパク質で、細菌をの生育に必要な鉄を奪うことで、増殖を抑制

●ペルオキシダーゼ…鉄を含むヘム酵素で、チオシアン酸イオンという抗菌成分の生成を促進。この酵素が、ニトロソアミンなどの発ガン性を弱めることも明らかになっています。また、有害な活性酸素を除去する抗酸化作用、つまりアンチエイジング効果も期待できます。

●IgA…消化器官の初期免疫を担う免疫グロブリン中で最多の抗体。病原菌などの侵入を真っ先に防止。生成にはグルタミンとビタミンAが必要。

●シスタチン…細菌のプロテアーゼの活性を阻害。プロテアーゼは、タンパク質分解酵素で、歯周病の進行に関与しています。アミノ酸の一種、システインを多く含みます。

●ヒスタチン…カンジタ菌に対する殺菌・成長抑制の働き。ヒスチジンというアミノ酸が豊富です。

ほかに、唾液の大事な働きの1つに、口内の酸性度(㏗)を一定に保つ緩衝作用があります。これは、虫歯の進行を抑制するのに不可欠の機能で、重炭酸塩が重要な役割を果たしています。生成には炭酸脱水酵素が必要ですが、この機能がうまく働くためには、必須ミネラルの亜鉛が欠かせません。タンパク質とともに、きちんと摂りたい栄養素です。