お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。飲んだり食べたり、呼吸をしたりするたびに、口には体の外からいろいろなものが入ってきます。水や栄養分のように有益なものもあれば、細菌のように有害なものも否応なく入り込んできます。体に異常をもたらす病原体のうち、経口感染、飛沫感染、空気感染…さまざまな形で、口から侵入してくるものがたくさんあります。口は、あらゆる病気の入り口でもあるのです。ということは、そうした病気の感染を防ぐためには、口の中、とりわけ口腔粘膜の健康が非常に大事なキーポイントになるということです。なぜなら、粘膜は、病原体の侵入を防いで体を守るバリアの役割を果たしているからです。口腔粘膜の特徴は表面を粘液(唾液)でカバーされていることです。そこが、乾燥している皮膚とは決定的に違うところです。このネバネバの粘液が、病原体をブロックする働きをしているのです。この粘液がきちんと分泌されているかどうかで、病原体を防ぐ力が強くも弱くもなります。唾液の分泌が少なく口の中が渇いていると、このパワーが十分に発揮できなくなります。粘液のネバネバのモトは、ムチンというタンパク質の一種です。そして病原体を排除する機能を果たしているのは分泌型免疫グロブリン(IgA)と呼ばれる物質です。粘膜の免疫力の中心を担っていて、これもタンパク質からつくられています。口の中では、ムチンのような物理的バリアやグロブリンの免疫的バリアに加え、もう一つ、化学的バリアがあって、体を守ってくれています。それは、唾液に含まれるリゾチームやラクトフェリンで、強い抗菌作用がある物質として知られています。リゾチームは細菌の細胞膜を加水分解し、ラクトフェリンは細菌から増殖に必要な鉄を奪って作用します。ラクトフェリンは、さらに腸内細菌によい影響を与えることもわかっています。グロブリン同様、どちらもタンパク質からつくられています。このように、口は常に、病原体の侵入のリスクにさらされていますが、物理的、化学的、そして免疫と何重ものバリアに守られているのです。口の中をよい状態に保つことは、あらゆる病気を予防することにつながります。しっかりとケアをして免疫力を高め、虫歯や歯周病だけでなく病気知らずの健康な体を維持していくようにしましょう。
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