口の驚くべき危機察知能力

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。口は健康のバロメーターです。それも、とびきり鋭敏で感度のよいバロメーターなのです。というのも、歯ぐきや口腔粘膜は非常にターンオーバーが速く、敏感で変化が現れやすいからです。ターンオーバーは細胞の入れ替わり、つまり新陳代謝のことですが、これが皮膚の6倍のスピードで行われています。皮膚のターンオーバーの周期が28日ということを聞いたことがある人もいるかもしれません。骨ではターンオーバーに200日もかかりますが、歯ぐきは、たった5日で細胞が入れ替わります。口の中は、外部からのいろいろな刺激が入ってくる場所のため、早めに細胞を入れ替えて、抵抗力をキープできるしくみになっているのです。ですから、栄養が不足していたり、異常が起きていたりすると、激しく消耗し、すぐに悪化します。逆に、栄養が十分に補充され、ケアが行き届けば、その効果が出やすいのです。ちなみに口腔以上にスピードが速いのは小腸の粘膜で、2日ほどで入れ替わります。常に外からの異物にさらされ、これらを排除しなければいけないうえに、必要な栄養分は吸収するという相反する機能を維持するため、いつも細胞をリフレッシュしているのです。そんなわけで、口の中にはさまざまな変化が現れやすく、よいバロメーターの役割をしてくれます。それも、ただのバロメーターではなく、ちょっとした変化でも素早く察知できる優秀な検知器です。その秘密は、歯と歯肉を結びつけている歯根膜の働きにあります。これは、わずか0.2ミリの細い繊維ですが、髪の毛1本でも識別できるほどの鋭敏なセンサーであり、歯のダメージを防ぐ衝撃吸収材の働きもしています。ストレスがかかったとき、よく「歯が浮く」などといいますが、そんな微妙な感覚をも歯根膜は感知することができるのです。このため、歯が抜けて義歯を入れるようになるとバロメーターとしての感度が落ちることは避けられなくなります。