寝ないと太る

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。「食べてすぐ寝ると牛になる」ということわざは、広く知られていると思います。もともとは行儀の悪さを戒める意味が強かったようですが、現代では「牛になる=太る」ととらえられることも多いようです。確かにたくさん食べてすぐ寝てばかりいては太ってしまいますが、ことダイエットに関しては、むしろ「寝ないほうが太る」という結果が出ています。アメリカ内科学会が発行する医学雑誌「アナルズ・オブ・インターナショナル・メディシン」に、ダイエットと睡眠時間に関して興味深い研究結果が報告されています。研究では、男性7名、女性3名の肥満者に、14日間のダイエットを2回実施しました。ダイエット方法は、食事のカロリーをマイルドに制限する方法で、それぞれがじっとしているときに自然に代謝されるカロリーのうち90%のカロリー量を計算し、摂取するようにしました。最低限必要なカロリー量よりもさらに低いカロリーしか摂取しないので、必ず痩せるというわけです。最初のダイエットは、全員の睡眠時間を5.5時間にしたうえで行われました。そしてそこから3ヶ月以上の間を置き、体重が元に戻ってから、今度は睡眠時間を8.5時間にして、同様のダイエットをしました。その結果、同じ人間が同じダイエットをしても、睡眠時間が短いときのほうが脂肪が減りにくいことがわかったのです。この研究では、一人ひとりの脂肪燃焼状況について調べるために、ダイエット期間の終わりに「呼吸商」という数値を算出しています。「呼吸商」とは、一言でいうと体内で燃焼する糖質と脂質の割合を示す数値です。この数値が大きいほど糖質の燃焼比率が高く、小さいほど脂質の燃焼比率が高くなります。つまり同じエネルギーを代謝していても、呼吸商が小さい人ほど効率よく体脂肪を燃焼させることができるので、太りにくいといえるのです。ダイエット期間の終わりに測定された呼吸商を比較すると、5.5時間睡眠時でダイエットしたときのほうが、8.5時間睡眠時でダイエットしたときよりも呼吸商が高くなっているという結果が出ました。つまり、睡眠時間が短いと糖質の燃焼比率が高まって、脂肪の燃焼比率が減少してしまうというわけです。この研究から結論付けられたのは、睡眠時間が短いと脂肪が燃焼しにくい体になるという事実です。その具体的なメカニズムについてはまだ解明されておりませんが、少なくとも、睡眠時間が人の代謝機能に大きな作用を及ぼすということだけは確かだといえそうです。