「共感性」は認知症ケアに奇跡を起こす

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。共感性が人間にとっていかに重要かは、認知症ケアの方法として注目されている「ユマニチュード」でも明らかです。これは「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つのコミュニケーションを基本とするもので、ポイントは患者さんの目線に立ち、対等に接することにあります。認知症と言えば、記憶が極端に落ちたり、自分の居場所もわからなかったり、家の中や外を徘徊したりといった症状が知られています。しかし、いずれも表面的な現象であり、内面では気持ちや記憶が以前のまま残っているのです。そこでケアする側としては、「話しかけてもムダ」などと思わず、以前と同じように話しかけたり、触れ合ったり、好きな音楽を聴かせてあげたりすればいいわけです。けっして「世話をしてあげている」「生活を支配している」という印象にならないよう、常に目線を同じ高さにして「見る」。ケアも黙って行うのではなく、「身体を拭きますよ」などと実況するように「話す」。身体も手でつかむのではなく、支えるように「触れる」。そして筋力を維持できるよう、なるべく「立つ」ことを基本にします。こういう接し方によって、人としての尊厳を取り戻し、症状の進行を抑えようというのが「ユマニチュード」の考え方です。短時間で生きる意欲を取り戻したり、積極的にコミュニケーションを図るようになったり等々、劇的に変化したケースもあるようです。これも一種の「共感の受容」でしょう。人とわかり合えることで、脳は活発に働きはじめるわけです。もちろん認知症とは関係なく、どんな人でも当てはまる話です。