お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。脳の仕組みで言えば、感情をつかさどっているのが、深部にある扁桃体を中心とした「大脳辺縁系」と呼ばれる領域です。ここは、人間の脳の進化の過程で古くからある原始的な部分で、気分をハイにすることもありますが、「もうダメだ」というネガティブな感情も生み出します。それに対して「冷静になれ」「何か道を探してみよう」とブレーキをかけるのが、脳の前の部分(額の裏側)にある前頭葉の、さらに前のほうにある前頭前野です。その役割から、「クールシステム」とも呼ばれています。進化の過程の最後に生まれ、なおかつ個々人の脳の発達でももっとも最後にでき上がる部分です。ここは高次認知機能を受け持ち、人間を人間たらしめている部分と言えるでしょう。年齢を重ねても、扁桃体自体はあまり変化しません。しかし前頭前野は影響を受けて弱まりやすいのです。だから高齢になったり認知症になると、子ども時代に戻ったように頑固になったり、わがままになったりする方もいます。要するに「クールシステム」による抑制が効きにくくなり、感情がより前面に出てくるわけです。では、どうすれば前頭前野を鍛えられるのでしょうか。巷には、いくつかの方法も流布しているようですが、残念ながら即効性は期待できません。それよりも重要なのは、「マインドセッティング」だと思います。脳の働き方には、クセがあります。人それぞれ動作のクセがあるように、脳も人それぞれ一定の思考パターンを持っているのです。それをどういう方向に持っていくかによって、前頭前野の働き方も違ってきます。できるだけものごとをポジティブに考える習慣をつければ、いつしかそれがクセになり、思考パターンも変わっていきます。「幸福論」で知られる哲学者アランの言葉に、「悲観は気分、楽観は意志」というものがありますが、脳科学の観点からもそれは言えるわけです。
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