体幹とスポーツ

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。数年ほど前から、基礎体力作りの一環で、コアを中心とする体幹を鍛えるトレーニングを取り入れるアスリートが増えました。その火付け役ともいえるのは、プロサッカー選手の長友佑都選手です。さらに、学生駅伝で近年目覚ましい活躍を見せている青山学院大学の駅伝チームも、体幹トレーニングの導入でフォームが定まるようになり、一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出しています。体幹を鍛えるとなぜ運動のパフォーマンスが上がるのでしょうか。その鍵を握るのは、運動のフィードフォワード制御です。これは「あらかじめこうなるだろうな」という予測に基づいて運動の準備を整えることです。体幹などのインナーマッスルを働かせて安定性を高めてから、アウターマッスルで上肢と下肢を自由に動かす可動性を高めて、スタビリティとモビリティを連動させるのです。フィードフォワード制御でインナーマッスルとアウターマッスルの連携がよくなると、正しいフォームが取れるようになります。たとえば、野球のピッチングもバッティングも、下半身で地面を押した反力をインナーマッスルで安定化させた体幹に蓄積し、タメを作ってからアウターマッスルでタイミングよくボールやバットに伝えています。ゴルフやテニスのスイングでも、インナーマッスルで体幹を安定させてから、アウターマッスルでゴルフクラブやテニスラケットに爆発的な力を伝えているのです。正確なフォームによるフィードフォワード制御がうまくいかないと、四肢のような末端だけが働いて本当のパワーはきちんと伝わらなくなります。これがスポーツではタブーとされる手打ち、手投げです。サッカーでも、駅伝やマラソンのような長距離走でも、地面を強く押した反力を活用し、キックや走力のエネルギーに転換しています。それが可能なのは、正しいフォームで体幹が地面を押した反力をしっかりと受け止めて、それをアウターマッスルが手足のような末端に伝えているからです。フィードフォワード制御を活用してパフォーマンスを上げるには、体幹の機能性を一層高めるとともに、四肢とのスムーズな連携の強化が求められます。そのためにスポーツの現場で盛んに応用されているのが、アウターマッスルとともにインナーマッスルを鍛える体幹トレーニングなのです。