飲酒は脳を萎縮させる

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。多くの方々の「脳のMRI画像」と「生活習慣データ」の関係から脳の萎縮が進む原因がわかってきました。その一つが「お酒の飲み方」です。飲酒の習慣やその量が、脳の萎縮に大きく関係することがわかったのです。慢性アルコール中毒の患者さんの脳をMRI画像で見ると、脳のさまざまな部分に重度の萎縮が見られます。そこで、飲酒と脳の萎縮の関係をつきとめるために、具体的には「1日にどのような種類のお酒を、どれくらい飲むのか」「1週間に何回飲むのか」「そうした飲酒の習慣を何年続けているのか」など詳細なヒアリングを行い、これまでに摂取してきたアルコールの成分であるエタノール量の総計を計算し、データ化しました。そして、それらの数値と脳の体積の相関関係をみたところ、アルコールの摂取量が多い人ほど、脳に委縮が見られ、中でも「前頭前野」の領域が委縮していることがわかったのです。「前頭前野」は高次認知機能を担う重要な領域です。飲酒が、人間らしさをつかさどる前頭前野に大きなダメージを与えることがわかったのです。また、毎日ビール大瓶を3本以上飲むような人は、半月に1回350mlの缶ビールを飲む程度の人に比べて、一割近く脳が委縮することもわかっています。アメリカの大学でも平均60歳の男女1839名を飲酒量ごとに5つのグループに分け、MRIによって脳の体積を測定する調査が行われています。ここでも同様に、大量に飲酒しているグループの脳の萎縮度が最も高く、全く飲まないグループの萎縮度が最も小さかったと報告されています。飲酒と脳の萎縮の関係のメカニズムは、まだはっきりと解明されていませんが、脳が委縮しない目安の量というのは存在せず、言えることは、お酒は飲めば飲むだけ、脳は委縮し、飲まなければ飲まないほど萎縮しないということです。ただ、お酒の量と脳の萎縮のスピードの関係は、アルコールの分解酵素など、遺伝子の関係もあります。飲めない人が無理して飲むのは、とくに脳の萎縮を進める危険があることがわかっています。脳の萎縮を防ぐには、飲めない方はできるだけ飲まない、ある程度飲める方は、控えめにすることが重要です。