認知症の脳に働きかけるユマニチュード

お読みいただき、ありがとうございます。風の整体院 岩田です。いま、「まるで、魔法のようだ」と、その効果が話題になっている認知症ケアの手法があります。体育学を専攻したフランスのイヴ・ジネスト氏とロゼット・マレイコッティ氏によって開発された「ユマニチュード」です。認知力が低下して語りかけても反応がない、自分がいる場所も理解できない、また立つこともできないで寝たきり状態の認知症患者の方々が、この手法でケアを受けると、話し、笑い、そして自分の力で立ちあがり、歩くことができるようになるというものです。この「ユマニチュード」は、「見る」「話しかける」「触れる」「立つ」の4つを柱とし、150の具体的な手法からつくられています。「さまざまな機能が低下して誰かに頼らなければならない状況になったとしても、最後の日まで尊厳をもって暮らし、その生涯を通じて”人間らしい”存在であり続ける」-そのためにケアを行う人々が、ケアの対象の方に「あなたのことを、わたしは大切に思っています」というメッセージを発信する、つまり”人間としての尊厳”をどこまでも大切にし続けるというケア手法です。見つめるときは、患者さんの中に「支配されている」という感情が起きないよう、見下ろすことは絶対にせず、必ず正面から目の高さをあわせて対等であることを印象づけます。体を拭くなどのケアをする時は、「タオルを温かくしてきましたよ」「左手をあげますね」「大きく動きましたね」「次は足を動かしますね」と実況中継をするように、優しく話しかけながら進めます。触れるときも決して手首や腕をつかむのではなく、下からそっと支えます。これらによって患者さんの中に、自分の存在が否定されているという感情や怖いという感情が生まれず、「自分は受け入れられている」という感情が生まれ安心できるのです。そして、体を拭いたり、歯磨きなどは、できるだけ立って行うようにし、筋力を高めることに力を入れています。このように、人間としての尊厳が全てのケアに込められています。