2017年12月ブログ

2017年

12月

30日

ムセにくい姿勢

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。食べ物を飲み込みやすいかどうかは、食事を摂る際の姿勢によっても大きくかわってきます。「飲み込みやすい姿勢」の基本は、「軽くおじぎをする」ような姿勢です。頭を少し前に倒すと、のどが狭くなるため、気管よりも食道に食べ物が流れやすくなり、誤嚥をしにくくなるのです。また、誤嚥を防ぐ有名な方法には「うなずき嚥下」と呼ばれる飲み込み方もあります。やり方は簡単で、飲み込む瞬間だけ、下を向いてごっくんするのです。のどに溜まった食べ物を食道に入りやすくする方法として、高齢者にかぎらず、誰にでもおススメです。なお、上を向く姿勢が飲み込みやすいと思っている人も以外に多いのですが、これは間違いです。イスに座って食べる場合は、背もたれのあるイスに深く腰掛け、背中を伸ばし、頭をやや前に倒して食べるのが理想的です。イスに浅く腰掛けて背もたれに体を預けるような姿勢や、猫背で食べるのはよくありません。また、ベッドで食事を摂る場合は、リクライニングで上体を起こし、頭の後ろに枕などを挟んで、やや頭を前に起こした姿勢をキープしつつ食べるといいでしょう。

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2017年

12月

29日

噛めば噛むほど良いか?

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。私たちは、幼い頃から「よく噛んで食べましょう」と言われて育ちました。たしかに、よく噛んで飲み込みやすい食形態にする、という考え方は正しいでしょう。あまり噛むことなく、大きなかたまりのまま飲み込むのは窒息の危険があります。しかし、噛めば噛むほど良いか?というと、答えはノーです。咀嚼された食べ物は、のどの奥に溜まっていきます。そして、嚥下反射が起きて、ごっくんします。ポイントは、このとき「噛む」と「ごっくん」という行為は、飲み込みの仕組み上、同時には行えないという点にあります。もしずっと食べ物を噛んでいるとごっくんができないので、長時間にわたりのどの奥に食べ物が溜まり続けることになります。その状態は、誤嚥する危険がとても大きいのです。さらに、咀嚼しすぎて唾液が多くなりすぎると食べ物のまとまりが無くなり、バラバラに崩れた状態で飲み込むことになります。バラバラになった食べ物は、誤嚥を引き起こすので要注意です。ですから、食事のときは、あまり長い時間噛み過ぎずに、適度なまとまりができたら、ごっくんすることをおすすめします。

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2017年

12月

26日

飲み込み力をつけるトレーニング

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。飲み込み力をつけるトレーニングには、大きく3つの柱があります。それが次の3つです。

①のどの筋トレ…飲み込み力をつけるには、のど仏を上下させている喉頭挙上筋群を鍛えるのがカギとなります。のどの筋トレは、この喉頭挙上筋群をはじめとしたのどの筋肉を鍛えることに狙いを定めた筋力トレーニングです。

②呼吸トレ…飲み込み力をキープしていくには、呼吸機能を衰えさせてしまってはいけません。呼吸トレは、呼吸機能を維持・向上させていくためのトレーニングです。

③発声トレ…嚥下と発声は、ほぼ同じ筋肉を使っています。だから、しっかり声を出したりすることは、飲み込み力をつけることにつながるのです。発生トレは、声を出すことで嚥下機能を向上させることを狙ったトレーニングです。

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2017年

12月

25日

しっかり声を出す

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。発声も、飲み込む力とたいへん密接なつながりがあります。そもそも、発声は、嚥下とほぼ同じ器官を使って行われています。声帯はのど仏のすぐ後ろ側の喉頭にあり、この声帯を、吐き出す息で振動させることによって声が出る仕組みになっているのです。このため、大きな声や高い声を出すと、喉頭の筋肉が効果的に刺激されます。たとえば、みなさんは大きな声でしゃべったり歌ったり笑ったりしていると、のど仏がさかんに上下しませんか?これは、のど仏の喉頭挙上筋群が刺激されている証拠です。ですから、「普段からしっかり声を出す習慣」が、飲み込む力を鍛えることへとつながっていくわけです。特におススメなのが「カラオケ」です。普段の生活では大きな声を出す機会はそう多くありません。しかしカラオケなら思いっきり声を出して歌うことが可能です。とくに、おなかの底から声を出していると、自然に深く息を吸ったり吐いたりするようになり、呼吸機能が鍛えられ、肺活量が増加します。こうして呼吸機能が向上すると、嚥下にも好影響をもたらすようになっていくのです。また、しっかり声を出してカラオケを歌っていると、のど仏がさかんに上下して、喉頭挙上筋群が鍛えられることにつながります。しかも、カラオケには、精神的ストレスを解消させたり、自律神経のバランスをよくしたり、体の血液循環をよくしたりといったさまざまな健康効果が期待できます。

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2017年

12月

24日

飲んだ後は、息を吐く

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。私たちの「飲み込み力」には、呼吸の良し悪しが非常に深く関係しています。食べ物をごっくんと飲み込む際、私たちは息を止めています。嚥下をするときは、口も閉じているし、鼻への通路も塞がっています。飲み込むときには、息が出入りする通り道をすべて塞ぎ、食道だけが開いて誤嚥を防いでいるのです。ただ、いつまでも息を止めているわけにはいかないので、ごっくんと飲み込んだ後はすぐに呼吸を再開します。この場合の呼吸は、飲み込んだ直後に息を吐くのが正解です。よく、ジョッキの生ビールをごくごくっと飲んだ後、プハーっと大きく息を吐く人がいますが、飲み込んだ後は息を吐き出すほうがいいのです。嚥下直後に息を吸ってしまうと、その拍子に食べ物や飲み物を肺に吸い込んでしまいやすいのですが、息を吐いていればそうした心配はありません。嚥下後、気管に食べ物が入りかけても、息を吐いていれば、その呼気によって食べ物が押し戻されます。つまり、私たちは、嚥下直後に息を吐くことによって自然と誤嚥を防いでいるわけです。ところが、呼吸が浅い人や呼吸器が弱い人、肺活量が落ちている人の場合、飲み込んだ直後に息を吸ってしまうことが多く、その呼吸のクセによって誤嚥が引き起こされるケースが少なくないのです。このため、呼吸機能が悪く、呼吸回数が多い人は誤嚥しやすくなります。1分間に20回以上呼吸する人は、誤嚥しやすいといわれています。また、鼻づまりの人も飲み込んだ後に息を吸ってしまうので、誤嚥しやすくなります。それと、口呼吸をするクセがある人も要注意です。普段から口で息をしていると、食べているときにも無意識に息を吸ってしまうようになり、誤嚥をする可能性が高くなるのです。

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2017年

12月

23日

意識して飲み込む

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。嚥下は「反射運動」によって行われます。口の中で飲み込みやすい状態になった食べ物は、特に「飲み込もう」と意識しなくても、無意識のうちに嚥下されて食道へ入っていきます。また、飲み込む途中で「あ、やっぱり飲み込むのをやめよう」と思っても、その嚥下運動は止められません。「飲み込む」という行為は反射運動のため、基本的に無意識下で自動的に遂行されるシステムになっているのです。しかし、無意識下の行動は、時としてミスするものです。みなさんも、何の気なしに口にした飲み物などが気管に入りそうになり、ムセてしまったことがあるのではないでしょうか。食べ物や飲み物を嚥下する際は、普段からなるべく「意識するクセ」をつけるほうがいいでしょう。つまり、ごっくんと飲み込む前に「さあ、飲み込もう」「ごっくんするぞ」といったことを頭に浮かべるようにするのです。そうやって嚥下を「意識化」していると、より確実にものを飲み込むことができるようになり、誤嚥防止に役立てていくことができるのです。なお、このように「嚥下をしっかり意識することの重要性」は世界各地で認められていて、英語圏ではよく「Think Swaⅼⅼow」という言葉が用いられます。「Swaⅼⅼow」とは「飲み込む」「嚥下する」という意味です。ですから直訳すると「意識して飲み込みなさい」という意味になります。

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2017年

12月

21日

「のど」の3つの機能

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。私たちの「のど」は、人間が生きていくうえで欠かせない「3つの機能」を担っています。それが次の3つです。

①嚥下ー食べ物を飲み込んでエネルギーを取り込む

②呼吸ー空気を出し入れし、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出する

③発声ー声や言葉を出すことにより、他人や周囲とコミュニケーションをとる

これら3つを同時に行っているというだけで、のどがいかに重要な器官であるかがわかると思います。3つとも、人間が生命を維持していくうえで絶対に必要不可欠なことばかりです。食べ物を飲み込めなければ、エネルギーが欠乏して脳や体を動かせなくなってしまいますし、呼吸ができなくなれば、酸素を得られなくなってたちまち死んでしまいます。また、発声ができなくなれば、他人に自分の意思を伝えることができず、社会生活を営むのがたいへん困難になってしまいます。つまり、私たち人間は、のどがちゃんと機能していないと生きていけないのです。「飲み込み力」を鍛えていくには、こうしたのどの3大機能を総合的に向上させていくことが大切になります。すなわち、日々の生活の中で、しっかり飲み込み、しっかり呼吸して、しっかり声を出すという習慣をつけていくことが、のどの健康コンディションをキープして、高齢になっても衰えない飲み込み力をつけることへとつながっていくのです。

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2017年

12月

19日

のどの筋肉は鍛えられる

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。女性も男性も、若いうちから少しずつのど仏の位置が下がり始め、とくに60代以降ガクンと下がってきます。男性では第5頸椎と第6頸椎の真ん中あたりにあったのど仏が、第6頸椎よりもかなり下のほうにまで下がってきます。注目すべきは、なんと40代から下がり始めている点です。おそらく、30代はもちろん、40代、50代だって「自分ののど仏が下がっている」などという自覚は持っていないでしょう。でも、のど仏の下垂は気がつかないうちにじわじわと進んでいて、何もしないまま放っていると、60代以降ガクンと落ちてしまうというわけです。のど仏の位置が下がるのは、のど仏を上下させる喉頭挙上筋群の力が落ちているという証拠です。この筋肉が衰えてのど仏が下がってくれば、喉頭が上がりづらくなり、喉頭蓋の「フタ」が閉まりづらくなって、誤嚥をする可能性がグッと高まってしまいます。しかし、飲み込み力の衰えに早く気づいてトレーニングを行えば、喉頭挙上筋群の衰えを防げます。飲み込み力は鍛えることができます。普段からのどの筋肉を鍛えていけば、飲み込み力が鍛えられ、衰えにストップをかけることができるのです。「のどの筋肉って鍛えられるの?」と思う人もいるかもしれませんが、筋トレをすれば腕や足の筋肉を太くできるのと同じように、のどの筋肉もトレーニングで鍛えれば、強く丈夫にしていくことが可能なのです。

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2017年

12月

18日

喉頭挙上筋群の衰え

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。飲み込み力が落ちてくると「見た目」にも明らかなサインが現れます。実は、「のど仏」の位置が下がってくるのです。高齢者にはのど仏の位置がだいぶ下にきている人もいます。あれは、もともと下がっていたわけではありません。若い頃はかなり上のほうにあったのが、歳を重ね、のどの力が衰えるとともに少しずつ下がっていき、下がってしまったのです。どうして、のど仏が下がってくるのか。それは、のど仏を吊り下げている筋肉や腱が衰えてくるからです。ごっくんと食べ物を飲み込むときに、のど仏(喉頭)が上下します。この動きは喉頭挙上筋群と呼ばれる筋肉がのど仏を引っ張り上げたり下ろしたりすることで起こります。のどにおいて「空気」と「食べ物」を仕分けする役割を担っているのが「喉頭」であり、その喉頭の前に位置するのが「のど仏」です。気管と食道の分岐点には喉頭蓋という「フタ」があるのですが、この「フタ」は呼吸をしたり声を出したりしているときは開いて、食べ物を飲み込むときには瞬時に「フタ」を倒れ込ませて気管の入り口を塞ぎます。そうすることによって、食べ物が気管に入らないようにしているのです。この「フタ」を塞ぐ際、喉頭は全体に上方にせり上がります。食べ物を飲み込むと同時にぐっと上に移動して「フタ」を閉めるという動きをしているのです。そして、このときに喉頭を引っ張り上げているのが、喉頭挙上筋群なのです。ところが、加齢により、この喉頭挙上筋群が少しずつ衰えてくるのです。すると、喉頭を上げる力も下がってくるし、喉頭の位置も全体に下がってきます。喉頭の位置が下がってきてしまうと「フタ」が閉まりにくくなり、誤嚥が起きやすくなるのです。

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2017年

12月

15日

「ムセ」はのどの老化サイン

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。私たちは基本的に、食べ物がのどを通らなくなったなら、食べる楽しみがなくなり、ヒトとして生きるのが難しくなります。食べ物が入ってきたときに、のどの筋肉を瞬時に動かして、ちゃんと「ごっくん」と飲み込むことができるかどうか。私たちがどれだけ長く生きられるかは、この「ごっくん機能」をどれだけ長くキープできるかにかかっていると言っても過言ではないのです。飲み込む力は40代、50代あたりから少しずつ衰えていますし、30代の誤嚥も報告されています。のどを動かす筋肉が衰え、のどを動かす反射神経が鈍り、ごっくんと飲み込むタイミングに次第に微妙なズレが生じるようになるのです。そして、こうした「ごっくん時のタイミングのズレ」によって引き起こされるのが「ムセ」や「咳込み」です。食事中、食べ物や飲み物が食道ではなく気管のほうに入ってしまいそうになり、瞬間的に危険を察知した体が反射的に咳込んで、入りかけた内容物を戻そうとしているわけです。みなさんは、「そういえば、最近、食事中にムセることが多くなったな」と感じたことはありませんか?もし心当たりがあるならば、それは、のどの力が衰えて「飲み込み力」が低下してきたという証拠です。「ムセ」は、のどの老化のもっともわかりやすいサインなのです。

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2017年

12月

14日

日本人の死亡原因第3位

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。人間は、食べ物を食べてエネルギーを取り込まなければ生きていくことができません。「食べる=エネルギーを取り込む」という行為は、生き物が生命活動を営むうえでのいちばんのベースとなる行動であり、私たちは、日々その行動をごく「当たり前のこと」として行っています。しかし、飲み込む力が衰えると、その「当たり前のこと」が当たり前にできなくなってしまうのです。ご存知の方も多いと思いますが、飲み込む力が衰えてくると、しばしば「誤嚥」が起こるようになります。「嚥」という漢字は「飲み込む」を表していますので、誤嚥というのは文字通り「誤って飲み込む」という意味です。食べた物が食道ではなく、気管や肺のほうに入ってしまうわけです。すると、気管や肺に入った食べ物によっり炎症が起こり、「誤嚥性肺炎」が発生することになります。そして、この誤嚥性肺炎が命取りとなるのです。実は今、肺炎は日本人の死亡原因の第3位となっています。日本人の死亡原因は、かつては長年にわたり「1位ガン、2位心臓疾患、3位脳血管性疾患」が不動のトップ3でした。ところが、2011年、肺炎による死亡者数が脳血管性疾患を追い抜いて、第3位になりました。その座をキープしたまま現在に至り、肺炎で亡くなる人の増加が社会問題化し始めています。どうして肺炎死者数がこんなに増えているのでしょうか。これは、誤嚥性肺炎で命を落とす高齢者が多くなったせいなのです。つまり、飲み込む力を衰えさせてしまったために誤嚥を起こし、肺炎をこじらせて亡くなっていくケースが非常に増えているわけです。だから、飲み込む力を衰えさせてしまってはダメなのです。特に70代以上の高齢者の場合は、飲み込む力をどれだけキープできるかが、寿命を決定づけるカギになると言ってもいいでしょう。しかも、これは決して高齢者だけの問題ではありません。実は、飲み込む力は、40代、50代あたりから徐々に低下しています。実際に、30代から誤嚥が始まっているという報告もあります。嚥下機能は、高齢になってから急に衰えるわけではないのです。

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2017年

12月

10日

プラセボ効果

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。プラセボ効果という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ビタミン剤などを、薬だと患者さんに伝えて服用してもらうと、一定の治療効果があるというものです。プラセボとは偽薬のことで、ラテン語に由来します。以前は、プラセボ効果は非医学的なものとして、低く見られていました。それは医学としては当然で、偽薬が、科学的に効果があると証明されている薬剤と同じ程度、あるいはそれ以上の効果を示す、というのは、いかにも具合が悪いからです。近年では、たとえプラセボ効果であったとしても、それが患者さんのためになるのなら、認めるべき、あるいは積極的に用いるべきではないか、という意見を持つ医師が増えてきています。もちろん、感染症、ガン、糖尿病といった病気に、真の薬剤ではなく、安易にプラセボを用いることは、あまりお勧めできません。しかし、かなり心理的な要素が大きいと考えられている病気には、効果的であろうと考えられます。心理的原因で大きく変動するタイプの高血圧患者さんでは、プラセボ効果が報告されています。かゆみの改善(抗アレルギー効果)の報告も一定の割合で認められています。治療困難なかゆみを訴える患者さんには、試みてよい方法だと考えられます。

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2017年

12月

08日

「かゆい」より「痛い」が優先

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。脳は応用が利くようで、結構頑固で融通が利かないところもあります。例えば、複数の刺激が同時に与えられると、各感覚に優先順位をつけて、優先順位が高いものだけを情報処理します。体性感覚(皮膚感覚)の場合には、一番上位にくるのは関節位置覚です。つまり、運動をする時には必ず関節が動きますので、その情報が関節位置覚として脳に伝えられます。次が触覚と振動覚です。その次が痛覚や温度覚で、かゆみは一番下位になります。したがって、運動(関節位置覚)は痛みを抑制します。サッカー、ラグビー、バスケットボールのように、試合中はほとんど動きっぱなしのスポーツでは、試合中にケガをしても、あまり痛くありません。試合後に急に激しく痛くなり、病院に行ったら重傷で入院した、といったことも珍しくありません。現在は、その原理を応用して、慢性痛に悩む患者さんに運動療法が行われています。積極的に、ただし無理のない程度に、全身運動をすると、驚くほど効果がある患者さんも少なくありません。痛い場所の運動ではなくても効果があります。ですから、全身運動、例えばスロージョギングや水泳にも鎮痛効果があります。触覚も痛覚より優先順位が上ですので、同時に与えると、痛みは抑制されます。子供が痛がるところを、お母さんが「痛いの痛いの飛んでけー」と言って触るのは、科学的には非常に理にかなった方法です。かゆみは一番下位ですから、運動も触覚も効果的です。みなさんは、かゆいところを叩いたり、爪で十字をつけたりしませんか?これは痛みを与えることによりかゆみを抑制しているのです。熱いもの、例えば、タバコの火をかゆいところに近づけても効果があります。痛みを感じるほどの冷刺激も同様に効果的です。かゆいところに保冷剤を置くと、この優先順位の原理と、保冷剤がかゆい部分の炎症を抑えてくれるので、かゆみが軽くなるのです。炎症がそれほど強くない場合は、かゆい場所以外のところに保冷剤を置いてもかゆみは抑制されます。

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2017年

12月

05日

洗剤を使いすぎるとかゆくなる

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。みなさんの中には、石鹸やヘアカラー、あるいは、洗剤を使った後に、かゆくなった経験がありませんか?身体を清潔にしてくれるはずの石鹸を使ったのに、なぜかゆくなるのでしょうか。マスト細胞以外では、表皮にある角質細胞もヒスタミンを産生します。主として、紫外線や界面活性剤の刺激によって起こる現象です。界面活性剤というのは、水と油のように混ざりにくい物質の間(界面)に働いて、両者を混ざりやすくする性質を持ったものです。石鹸、化粧品の乳化剤・保湿剤、ヘアカラーなどの主成分です。マウスを使ってそのメカニズムを研究したものがあります。いくつかの界面活性剤をマウスの皮膚に塗ると、異物なのでかきますが、しばらくすると慣れてきて、かき動作はおさまってきます。ところが、2時間くらいすると、またかくようになります。ですから、界面活性剤によるかゆみは、急性現象ではありません。慢性的に界面活性剤を使っていると、表皮のケラチノサイトという細胞が活性化されて、ヒスタミンを合成しやすいタイプに変換されます。つまり、以前よりもヒスタミンがたくさん放出されるように変化したわけです。しかも、その場所は表皮と真皮の境目で、かゆみの受容体である自由神経終末が密集している場所です。まさにこの部分で、ケラチノサイトからヒスタミンが出てくるので、ほんの少量でもヒスタミンがかゆみを起こすことになると思われます。つまり、石鹸、洗剤、ヘアカラーによるかゆみは、表皮で作られるヒスタミンが原因で起こっていると考えられています。

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2017年

12月

04日

かけばかくほどかゆくなる

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。単にかゆいところをかいて快感を覚えるだけならよいのですが、この快感を一度おぼえる(脳が記憶する)と、私たちはかくことをやめられなくなります。たとえ、かきすぎて皮膚が破れてしまうようになってもかいてしまいます。ギャンブルや、酒・タバコといった嗜好品の依存に似た状態です。アトピー性皮膚炎の患者さんでは、この傾向が強いことが知られています。だから、周囲から「かいてはダメ」といわれても我慢できないのです。こういう病的な悪循環は「イッチ・スクラッチ・サイクル」と呼ばれています。イッチは「かゆみ」、スクラッチは「かく」という意味です。さまざまな原因でかゆみが起こり、そこを強くかきます。すると、皮膚が傷つきます。すると、皮膚の中のサイトカインという物質が放出されます。この物質は皮膚の中にあるマスト細胞(肥満細胞)を刺激して、ヒスタミンというホルモンを放出します。このヒスタミンは非常に強いかゆみを誘発します。また、傷ついた皮膚には炎症が起こり、それもかゆみを引き起こします。そのために、また強くかいてしまい、この悪循環が止まらなくなってしまうわけです。こういったイッチ・スクラッチ・サイクルのことを知ることは、とても重要だと思います。なぜなら、自分が、かき続けている時に、これが病的な悪循環だと思えば、自制心が働き、かくのを我慢することができるかもしれないからです。

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2017年

12月

01日

見ているだけでかゆくなる

お読みいただき、ありがとうございます。本八幡 風の整体院 岩田です。かゆみには、もう一つ不思議な特徴があります。それは「かゆみは伝染する」ことです。周囲の人がかいているところを見ていると、自分もなんとなくかゆくなってきませんか?あるいは、かゆそうな皮膚炎の患者さんを見たり、たくさん蚊に刺されている人を見ていると、自分も同じようにかゆくなってきて、かきたくなりませんか?この現象は世界中で報告されており、特にアトピー性皮膚炎の患者さんでは、その傾向が強いことが知られています。かいている人や、かゆそうな光景を見ると、なぜ自分もかゆくなってくるのかを、機能的MRIを用いて検査した実験があります。これもシンプルな実験です。蚊にたくさん刺されている腕の写真など、見るだけでかゆくなりそうな写真をたくさん用意します。これが「かゆみ誘発群」です。それに対して、全く正常な腕の写真など、全くかゆみとは関係なさそうな写真も用意しました。これを「対照群」と呼びます。被験者さんは、次々にランダムな順番で提示される写真を、ただ見ているだけです。実験では、「かゆみ誘発群」の写真を見ている時と、「対照群」の写真を見ている時の脳活動の相違を調べてみました。すると、「かゆみ誘発群」の写真を見ている時には、実際にかゆみ刺激を与えられた時と同じような場所が活動することがわかりました。実際にはかゆくないはずなのに、他人のかゆみが伝染して、脳はかゆいと感じてしまったわけです。かゆみほどではありませんが、痛みにも似たような傾向があります。痛そうな写真を見ただけで、痛い時に活動する場所が活動します。慢性腰痛に苦しんでいる人に、いかにも腰に負荷がかかりそうな写真を見せると、痛い時に活動する場所が活動します。腰痛がない人に同じ写真を見せても、そのようなことは起こりません。こういう現象は、かゆみと痛みだけに起こるもので、かゆみと痛みの特異性がよくわかります。

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